Yahoo!ニュース

実力急上昇中のテニス選手・尾崎里紗が、第16シードの選手を破って、マイアミオープン初の3回戦進出!

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
マイアミで初の3回戦進出を決めた尾崎。指で3を表現してもらった(写真/神 仁司)
マイアミで初の3回戦進出を決めた尾崎。指で3を表現してもらった(写真/神 仁司)

マイアミオープン2回戦で、尾崎里紗(WTAランキング87位、3月20日付け、以下同)が、第16シードのキキ・バーテンズ(21位、オランダ)を6-4、4-6、6-1で破って、初の3回戦進出を決めた。

「大きい大会で残れているのは、すごく嬉しい」と語った尾崎のキャリアの中で、21位の選手からの勝利は、今までで最高ランクとなる。

グランドストロークをフラット系でハードヒットするバーテンズに対して、尾崎は、真っ向から勝負を挑んで互角の打ち合いを演じた。尾崎の得意のフォアハンドストロークは、スピードにのってバーテンズのコート深くに入り、シード選手に対して全くひけをとらなかった。

「風があって、1回戦よりは(ラケットの)振り切りが悪かった。お互い出だしが良くなかったけど、私の方がちょっとしつこくやった。どっちが勝ってもおかしくなかった」(尾崎)

セットオールとなり、ファイナルセット第1ゲーム15-15の場面で、バーテンズが右足の治療をするためメディカルタイムアウトをとった。冷たい夜の海風が吹く中、尾崎は待たされることになったが、再開後第1ゲームをキープし、さらに第2ゲームをブレークして試合の流れを引き寄せた。

「嫌でしたね、ファイナルの出だしで、体も固まったし、嫌な感じでしたけど、そこを取れて離せた。1ゲームを取れたのがよかった」

また、サーブの威力があるバーテンズだが、ファーストサーブの確率が39%にとどまったのは、尾崎にとってラッキーだった。尾崎がリターンを返して、ラリー戦にもち込みさえすれば、十分チャンスがあったからだ。

結局、2時間19分に及んだ壮絶なラリー戦を制して、勝利をつかんだのは22歳の尾崎だった。試合が終わったのは午前2時6分。力を出し切って疲弊した尾崎だったが、勝利の嬉しさに笑みがこぼれた。

尾崎と一緒にツアーを転戦する川原努コーチは、「結果は嬉しいです。よく頑張ってくれました」と語るものの、彼女への注文も忘れない。

「ポイントが欲しくなって硬くなる場面があった。里紗が大事なゲームを取った直後に、次のゲームのファーストポイントで簡単にエラーした。相手が苦しんでいるのに、里紗がポイントを落としてしまっていた。そういうところが無くなれば、相手にもっと精神的ダメージを与えられるはずです」

3回戦で尾崎は、ジュリア・ゴルゲス(47位、ドイツ)と対戦する。対戦成績は、尾崎の0勝1敗。以前はクレー(土)コートでの対決だったので、ハードコートでは初めての対戦となる。

2回戦が終了してマイアミでは、日本女子のシングルスは尾崎だけとなり、日本男子を含めると錦織圭と尾崎だけという状況になった。

「何かそれはすごく嬉しいです(笑)。圭君は、日本のスターなので、そういう選手と残れるのは嬉しい」

すでに予選から4試合を戦った尾崎は体力的にきついだろうが、トップ選手らとの厳しい戦いを乗り越えれば、また次のステップが見えてくるはずだ。まずは3回戦のゴルゲスとの試合で、尾崎がどれだけ自分の力を出し切れるか注目したい。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

神仁司の最近の記事