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正恩氏の妹・与正氏の同級生が一斉に失踪…大量粛清に巻き込まれ!?

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
金正恩氏と軍部隊を視察する金与正氏/2015年3月12日付労働新聞より

韓国の聯合ニュースは先週、「北朝鮮の金正恩、崔英健(チェ・ヨンゴン)内閣副総理も銃殺処刑」と報じた。

崔氏は昨年6月19日に副総理に就任。しかし同年10月28日以降、動静が途絶えていた。

南北経済協力推進委員会の北朝鮮側委員長などを歴任したことで、海外でも良く名前を知られた人物だけに、このニュースのもたらしたショックは大きい。

金正恩氏は、父親である故金正日総書記の7倍ものペースで幹部らを処刑しており、その数は約70人に上るとされる。

今後も崔氏のように、あっと驚く名前が「処刑リスト」に上る可能性は低くない。

そんなことを考えていたら、早速あっと驚く情報が入ってきた。

北朝鮮国内にいるデイリーNKの情報源によれば、正恩氏の実の妹である与正(ヨジョン)の大学時代の同級生十数人が今年5月ごろ、謎の失踪を遂げたという。

与正氏は、20代の若さで朝鮮労働党中央委員会の副部長の肩書を持っている。日本で言うなら、中央省庁の審議官から事務次官クラスだ。正恩氏の公式活動にも頻繁に同行し、日増しに存在感を高めている。また、労働新聞の写真などに映る自然体の笑顔が、「話の通じる人物なのではないか」との期待を、一部の北朝鮮ウォッチャーに抱かせていたりもする。

そんな与正氏の同級生が一斉に失踪したとは、実に気になる話だ。

情報源によれば、失踪のきっかけになったのは、彼らが「自分は金与正と同級生だ」と周囲に言いふらしたという、事実に些細な出来事だったようだ。それが当局に見とがめられ、地方に追放されたというのだ。

しかし果たして、たかがそれだけのことで追放されるものなのだろうか?

背景には同じ時期に起きた、玄永哲人民武力部長の銃殺やスッポン工場責任者に対する「公開激怒」事件(その後に処刑)などの影響があったのではないか。

事実はどうあれ、同級生の追放措置に、与正氏はショックを受け、しばらく仕事が手につかなかったとも伝えられている。

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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