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北朝鮮のドローン部隊が韓国を「爆撃」している

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
北朝鮮の軍事パレードに登場したドローン

北朝鮮の「ドローン(無人航空機)部隊」が韓国の首都圏を無慈悲に「爆撃」し、色々なモノを破壊している。

といっても、空から落とされているのは火薬の詰まった爆弾ではなく、大量の「紙」だ。先月6日に北朝鮮が行った核実験に対し、韓国は拡声器による宣伝放送を行うなどの対応措置を取っている。それに対して北朝鮮は、韓国に向けて大量の宣伝用ビラを飛ばし始めたのだが、その一部が「ビラ爆弾」となって自動車や住宅施設を壊しているのだ。

(参考記事:北朝鮮の宣伝ビラが韓国乗用車を無慈悲に粉砕…ドローンで散布か?

(参考記事:韓国を襲う北朝鮮「ビラ爆弾」、今度は貯水タンクを無慈悲に粉砕

ただの紙とはいえ、何万枚もまとめればかなりの重量になる。そんなモノがいきなり上空から落下してくるのだから、危険なことこの上ない。

そして、ここでひとつの疑問が浮かぶ。北朝鮮は、本当に効果があると思って宣伝ビラを飛ばしているのだろうか。大昔、北朝鮮が経済的に韓国を凌駕していた時代ならまだしも、いまどき時代遅れの独裁国家の口車に乗るのは、ごく一部の特殊な思想を持つ人だけだ。

となると、北朝鮮の目的は別のところにあるのではないか。もしかしたら、ドローンで韓国領内にモノを落とす訓練をしているのではないのか。小さなドローンでは、本格的な爆弾を運ぶことはできない。しかし韓国社会に混乱を起こすためであれば、数キログラムの小さなものを、大量に落とす方が効果的とも言える。

韓国の国家情報院によると、北朝鮮の金正恩第1書記が、対南テロとサイバーテロの準備を進めているとの情報もある。

(参考記事:金正恩氏、韓国へのテロの準備か…韓国情報機関が報告

一方、韓国側では南北軍事境界線(MDL)地帯に北朝鮮の無人機(ドローン)が多数侵入したとの想定の下、攻撃編隊を緊急発進させる防衛制空訓練などを実施している。

また、米軍は今月に入り、陸軍第75レンジャー連隊などの特殊部隊を韓国にローテーション配備したと発表したが、これは韓国軍の金正恩「斬首作戦」と連動している可能性が高い。

(参考記事:米軍が「金正恩斬首」部隊を韓国に送り込んだ

来月7日からは、米韓合同軍事演習が過去最大規模で行われる。北朝鮮が、激しく反発するのは必至だ。朝鮮半島情勢は、いよいよきな臭さを増している。

(参考記事:金正恩氏が「暴走」をやめられない本当の理由

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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