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「Apple Watch」一気に首位に浮上、世界スマートウオッチ市場でシェア75%に

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
米アップルの腕時計型端末「Apple Watch」(写真:ロイター/アフロ)

米国の調査会社ストラテジー・アナリティクスがこのほど公表したリポートによると、今年4月に発売された米アップルの「Apple Watch」は、世界のスマートウオッチ市場で一気に首位に躍り出たという。

Apple Watch、400万個を出荷

これは4〜6月期における世界のスマートウオッチ出荷個数を調査したもの。ストラテジー・アナリティクスの推計によると、この期間に世界で出荷されたスマートウオッチは合計530万個で、1年前の約100万個から約5.6倍(457%増)に増えた。

この伸び率は過去最大だという。

今年4〜6月期の出荷個数は、昨年の年間出荷個数である460万個も上回っており、市場は急拡大したと同社は報告している。このうちApple Watchの出荷個数は400万個を占めており、アップルの市場シェアは75.5%に達したという。

そしてアップルに次いだのが韓国サムスン電子で、その出荷個数は40万個、市場シェアは7.5%。サムスンは1年前に70万個を出荷し、73.6%のシェアを持っていたが、この4〜6月期はいずれもアップルに比べ1桁小さい数値となった。

業界の販売目標水準引き上げる

Apple Watchは今年4月24日に米国、カナダ、日本、中国、香港、オーストラリア、フランス、ドイツ、英国で発売され、6月26日には韓国、台湾、シンガポール、イタリア、スペイン、スイス、メキシコでも販売が始まった。

ストラテジー・アナリティクスのエグセクティブディレクターであるニール・モーストン氏によると、Apple Watchは米国をはじめとする国々でiPhoneの支持者から受け入れられているという。

「Apple Watchは明らかに、スマートウオッチ業界の販売目標水準を引き上げた」と同氏は述べている。

ストラテジー・アナリティクスによると、世界の世界スマートウオッチ市場はアップルとサムスンの2社で8割のシェアを占めている。

だがモーストン氏は「両社の差は大きく、サムスンがアップルの影響力を低下させるためには、今後複数の新モデルと数多くのアプリを市場投入する必要がある」と指摘している。

Apple Watchの初年出荷個数は1540万個との予測

また同社が「その他のメーカー」に分類しているアップルとサムスン以外のメーカーの4〜6月期における合計出荷個数は90万個で、シェアの合計は17.0%だった。

これらメーカーの出荷個数は1年前の30万個から増えたものの、シェアは同26.4%から大きく低下している。こうした数値の変化はApple Watchの登場で市場構図が大きく変わったことを示しているという。

なお、これに先立ちストラテジー・アナリティクスが予測していた、2015年の業界全体におけるスマートウオッチ年間出荷個数は2810万個。このうちApple Watchは世界市場の大半を占める1540万個になると同社は見ている。

同社はその根拠として、アップルのブランド力やその忠実なファン層、アップル小売事業の規模、iOS用アプリの数と普及実績、といった要素を挙げており、これらがApple Watchの堅調な販売につながると予測している。

JBpress:2015年7月24日号に掲載)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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