LINEで虐待方法を話し合っていた親に「殺された」3歳児は、おそらく救えていた

(写真:アフロ)

3歳児の父親の駒崎です。

またしても、胸が潰れるような事件が起きました。

・<狭山女児死亡>母らLINEで虐待やりとりか「帰ったらやろうね」- Yahoo!ニュースhttp://bit.ly/1Oj6MJV

・3歳娘に「正座」強要…元同僚が激白、目にあざも(テレビ朝日系(ANN))- Yahoo!ニュースhttp://bit.ly/1Oj73wG

報道が事実とすれば、この残酷な母親と内縁の夫に強い憤りを覚えないかと言ったら、嘘になります。

しかし、我々は「再発防止」の観点から、この事件を見なくてはいけません。

現在出ている限られた情報からですが、分析をしたいと思います。

【死までのタイムライン】

まず、羽月ちゃん(3歳)が命を落とすまでに至るタイムラインを、報道資料から整理してみました。

2012年 8月 誕生

2012年 12月 4ヶ月検診受診せず

2013年 4月 (受診がなかったので)家庭訪問

2014年 2月 1歳6ヶ月検診を受診せず

2014年 7月 (受診がなかったので)家庭訪問

2015年 6月29日夜近所から警察に通報あり(警察は児相に通告せず)

2015年 7月19日夜近所から警察に通報あり(警察は児相に通告せず)

2015年 6月~7月 保育所に16日だけ通所

2015年 秋からエスカレート

2015年末 マンション隣の青果店店主「泣き続ける子どもの声が部屋から聞こえてきた。二時間以上泣いていた」

2015年11月 3歳児検診を受診せず

2016年 1月 虐待死

出典:

狭山の女児死亡 市、複数回接触 「虐待の兆候」確認できず /埼玉

http://mainichi.jp/articles/20160113/ddl/k11/040/095000c

<狭山女児死亡>全身にやけど以外の傷多数 虐待、秋から日常的に

http://news.goo.ne.jp/article/saitama/region/saitama-34236270.html

狭山3歳死亡 泣く姿を住民ら目撃 市側は「兆候みられず」

http://news.goo.ne.jp/article/tokyo/region/tokyo-CK2016011302000187.html

【救えたチャンス】

これをご覧いただければ、羽月ちゃんを両親のもとから引き離す、「一時保護」の機会があったことがわかります。

例えば、4ヶ月・1歳半・3歳児検診の3回ともを受診していない、ということ。これは虐待の重大なサインです。基本的には受けさせなければいけない検診を受けさせていない、というのは、子どもを心理的に受容できていないことを意味するためです。

そしてこの「要注意家庭」において、警察への通報が2度もありました。

しかし、警察は「外傷がなかったため」、児童相談所には通告しなかったのです。

ここでもし、「(ここまでには2度とも)検診に行っていない」という情報と、「短期間に2度虐待的な状況があった」という情報が、警察と児相の間で共有され、足し合わされていたらどうだったでしょうか。

一時保護をする判断は、できたと思います。少なくとも児相からの家庭訪問を頻回化させたり、近隣住民への追加ヒアリングはできたでしょう。

【なぜ児相と警察は連携できないのか】

児童虐待防止法(http://bit.ly/230vB56)の10条では、警察への援助要請について規定されています。しかし、現場の実態としては、児相と警察の連携は進んでいません。

児童虐待防止の活動を続ける後藤弁護士は「警察と児童相談所は、お互いに縦割りの組織で、『連携なんて聞いたこともない』『自分たちのやり方を変えたくない』という意識が強くあります。お互いがよほど困らない限りは連携しようとしません」と語ります。

https://www.bengo4.com/other/1146/1307/n_2621/

こうした文化的な部分に加えて、現在の児童虐待防止法では、警察が積極的に児相に情報提供をしたり、その逆で児相が警察に情報提供することも規定していないのと、児相と情報共有し、パトロールなどのルートの中で家庭訪問をしていくことも定められていないのです。

「児相と警察の意識の低さ」と「法の不足」が要因となって、子どもたちが死んでいったのです。

【問題解決のために】

今回のような事件は珍しいものではなく、我が国では、3日に1人、子どもが虐待で殺されています。

この数を少しでも減らすために、我々ができることはなんでしょうか。

(たくさんあるのですが、今回のケースの文脈に沿ったものとして短く挙げておきます)

国ができること:

児童虐待防止法を改正し、児相と警察の連携を強化させる。情報共有と、家庭訪問の共同実施

児童福祉司が持っているケースが100件(欧米では20件)を超え、よって家庭訪問もろくにできないという狂った状態を是正するための予算措置をとる

自治体ができること:

・都道府県警察と児相、そして自治体の連携がきちんとできるように、条例を策定/改正する

・虐待防止の地域協議会を自治体のあまねくエリアで行う。今回は、地域協議会の範囲外だった

私たち個人ができること:

・虐待かな、と思ったら、児相共通ダイヤル「189」に電話。

・110番にも重ねて電話し、その際に「児相と情報共有してもらえますか?」と添える

・過去電話して、改善されなくても、しつこく電話する。回数によって優先順位も変わるため

・友人や同僚が虐待をしているとわかった時は、きちんと相談に乗りつつ、児相にも通告しておく(匿名で通告できます)

・「子どもの虐待防止」を公約に掲げている政治家に投票する

以上、簡単ですが分析と提言でした。

目にアザをつけられ、寒空の中ドアの外に出され、食事も食べさせてもらえず、熱湯をかけられて病院にも連れていってもらえず死んでいった3歳の羽月ちゃんの冥福を、心から祈ります。