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プロ野球選手の過酷さ

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

プロ野球選手って何人いる?

この質問に即答できる人はほとんどいないと思う。プロ野球選手にまつわる数字を並べてみるとその過酷さがよくわかる。

NPBの支配下登録選手の上限は70人(育成契約を除く)。ただ、枠をいっぱいにしてしまうとシーズン途中の緊急補強ができなくなるため68人か69人としておくのが一般的。それに加えて各球団外国人選手が5人ほどいる。

仮に所属する日本人選手が63人だとすると12球団あるから

63×12=756

プロ野球選手はだいたい750人ということになる。

ここにドラフトで毎年70~80人の選手が入団してくる。

750人ぐらいしか入れないところに75人入って来るということは、毎年“少なくとも”同じ数だけ辞めているということ。

毎年1割が入れ替わるということは、例えば30人のクラスなら3年後には9人は新顔ということになる。これほど入れ替わりが激しい世界も珍しい。

実際、引退や戦力外通告を受けて退団する人数は毎年100人を超えている。

彼らもまた、アマチュア球界では光り輝くスター選手だった。

高校生を例にとると、先日高野連は、硬式野球部の部員数を16万7088人と発表した。単純に3で割ると1学年5万5~6千人。この中からドラフト指名されるのは例年30人前後。5万分の30という狭き門をくぐり抜けた精鋭達が底辺にいるのがプロ野球という世界なのである。

1球団の支配下登録人数が70人ということはすでに述べたが、1軍登録人数はそこから更に28人に絞られる。その全ての競争を勝ち抜いた選手だけが、華やかなスポットライトを浴びることができる。

地元ではヒーローだったが全国的には無名、ほとんど1軍に上がれないままその現役を終える。

野球少年の憧れの的、プロ野球選手にとって最も一般的なキャリアはこのようなものなのかもしれない。

入団時には華やかな舞台が用意されるが去って行く者には厳しい世界。超人的な技能を身につけるため、小さい頃から野球一筋に打ち込んでも結果を残せなければ数年で戦力外である。

プロ野球選手の平均引退年齢は29歳と言われている。最近は40歳を過ぎても活躍する選手が増えたが、その反面20代前半で戦力外となる選手も少なくない。

プロ野球選手会の発表によれば平均年俸は3733万円。

一部のスター選手が平均年俸を押し上げている反面、1軍最低年俸1500万円に届かない選手の方がはるかに多い。仮にプロ野球に10年在籍し、平均年俸が1000万円だった場合(もちろんこれに届かない選手の方が圧倒的に多い)、職業野球選手として稼いだ金額は1億円。一般の会社員の生涯賃金が2億円と言われているから

「1軍でバリバリ活躍している選手以外は、普通のサラリーマンの半分以下」

という現実が浮かび上がる。

光あるところに影あり

プロ野球は途方もないピラミッドの上に成り立っている。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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