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右投げ左打ちが多いのは日本だけ?様々なお国柄が見られるU-18ベースボールワールドカップ

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

高校日本代表が世界一を目指す戦い、第27回WBSC U-18ベースボールワールドカップが昨日開幕した。

豊中ローズ球場で行われた第1試合、キューバ対イタリアは4対1でキューバが勝利。フォロースルーの大きなキューバの打者のスイングはWBCで何度も日本の投手陣に脅威を与えたそれと変わらない。しかし、イタリアとの初戦では5回を終えた時点で1対1の同点と意外にも苦戦。それでも6回以降は3番のルイス・ロベルトの2打席連続本塁打などで突き放し開幕戦で勝利を収めた。

この試合、スタメンで出場した両チームの選手18人中17人が右投げ右打ち。唯一の右投げ両打ちだったイタリアのマルテン・ガスパリーニもノーヒットで迎えた最終打席は右投手を相手に右打席に立った。一定以上のレベルになれば右投げ左打ちの好選手が多い日本ではまず見られないような光景だ。キューバのルイス・クーバ監督によれば「日本は打ったらすぐ走ろうとする。我々はしっかり打ってから走る。だからホームランが打てた」と話す。

日本では少年野球の時点で足が速くセンスのある子には指導者が左打ちを勧めることが多いが、そういった指導はキューバではあまり多くないそうだ。ちなみに日本代表は野手12人中7人が左打者。甲子園の決勝戦に3番・ショートで出場した東海大相模の杉崎と仙台育英の平沢は共に右投げ左打ち。注目を集める1年生スラッガー、早稲田実業の清宮も右投げ左打ち。投手登録ながら打撃も良く野手としてスタメン出場する東海大菅生の勝俣も右投げ左打ち。勝俣も含めれば日本打者陣は右利きの左打者が8人になる。ちなみに他の出場国の野手で右投げ左打ちの選手は

アメリカ 3人

メキシコ 1人

オーストラリア 2人

ブラジル 2人

チェコ 1人

キューバ 0人

チャイニーズ・タイペイ 5人

カナダ 5人+両打ち1人

韓国 3人

イタリア 0人+両打ち1人

南アフリカ 3人

やはり日本が断トツで多い。

また、キューバ対イタリア戦で日本ならまず考えられないような光景も見られた。投手が投げるまさにその瞬間、ファーストの膝はほんのわずかに曲がった程度でほとんど突っ立ったまま。日本の高校球児が同じプレーをすると間違いなくベンチから監督の怒号が飛ぶ。それでも改善されなければ懲罰交代必至だ。ただこれにもクーバ監督は「ずっと全力だと大事な場面で力を発揮出来ない。大事な場面にエネルギーを集中させるためだ」と説明する。

アメリカは得点する度にチーム全員がネクストバッターズサークル付近まで出て生還したランナーをハイタッチで迎えるなど様々なお国柄が見られるU-18ベースボールワールドカップ、今年で27回目を迎えるが日本開催は初のこと。日本代表は準優勝は3度あるが優勝経験は無い。悲願の世界一へ、ベースボールの強豪国に”日本の野球”を見せつける。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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