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押す投手からかわす投手へ。ベテランの域に達した能見の投球術の変化

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

右打者のインコースに決まるストレートで見逃し三振を奪い、低めに決まったフォークにバットは空を切る。高い奪三振率を誇り近年の阪神投手陣を引っ張ってきた能見だが、

2013年 11勝7敗 2.69

2014年 9勝13敗 3.99

2015年 11勝13敗 3.72

とここ2年は4点近い防御率に加えて貯金を作れないでいる。結果のみならずその内容にも変化が見られる。投球に占めるストレートの割合はここ3年を比べてみると57.42%→50.42%→43.99%とその割合が減っていることがわかる。代わりに増えているのがチェンジアップ。2年前は12.88%だったが今季は23.28%までに増えた。今季はチェンジアップとスライダーを合計すれば44.75%となりわずかながらストレートを上回る。もちろん決め球となるフォークも投げているから投球の過半数が変化球ということになる。球種別の被打率を見てもストレートが.259→.303→.323、フォークが.107→.203→.273と悪化しているのに対しチェンジアップとスライダーには大きな変化が無い。より打たれにくい球種を多く投げるのは当然の選択か。

呉昇桓が離脱したシーズン終盤はリリーフとしてブルペン待機していたが、10月2日のヤクルト戦では2イニング目に優勝を決めるサヨナラヒットを打たれ、4日の広島との今季最終戦では手痛い一発を浴びるなど結果を残せず。ただ今季先発した試合での初回失点はわずかに4点。本来立ち上がりに強い投手だ。安藤、福原のようにこれまでの経験を1イニングに凝縮させたピッチングでリリーフを任せるのも1つの手。他力により進出を果たしたCSのファーストステージでは藤浪、メッセンジャー、岩田の先発が予想されている。今後、投手陣の中でどういう立ち位置になるのか。来季が大きな分岐点となるだろう。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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