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高橋由伸の監督就任で巨人が失った代打の切り札。優勝のためには1点差試合での貯金量産がカギ

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

打率.278、5本塁打、21打点。

巨人の監督に就任することが発表された高橋由伸の今季の成績だ。通算打率は.291だからやや物足りなく映るかもしれない。しかし代打に限定すれば47打数15安打の打率.395。顔で勝ち取った8四死球も加われば出塁率は.489。代走・鈴木と並んで、登場するだけで空気を変えられる貴重な存在だった。特に7月.375、8月.467、9月.429と混戦が続いたセリーグで夏以降に勝負強さを発揮しこの3ヶ月間のOPSは1.114。今季トリプルスリーを達成したヤクルト・山田が1.027、ソフトバンク・柳田が1.101だから1打席限定とはいえ、その攻撃力はかなりのものだ。

長打率−打率で計算され純粋な長打力を示すIsoPは.150でこれはリーグ9位でベスト10入りを果たす。出塁率−打率で計算され四死球によってどれだけ出塁したかを示すIsoDは.100を超えれば一流とされているが高橋由は.108。これは選球眼の高さが有名な阪神・鳥谷を上回りリーグ2位。

代打を主戦場とする以上、終盤のチャンスが仕事場となるため求められるのは試合を決める一打。好投手を相手に1打席勝負という厳しい条件の中、阪神・呉昇桓に対して6打数3安打、広島・中崎に対して6打数4安打、中日・福谷に対しては1打数無安打だが四死球で2出塁ときっちり結果を残している。DeNA・山崎康に対しては3打数無安打、ヤクルト・バーネットに対しては5打数1安打だが、この2人に関してはそもそも攻略出来ている打者がほとんどいない。守護神がマウンドにいるということは相手にとってみれば勝ちゲームのはずだが、高橋由がベンチにいるかいないかで相手が受けるプレッシャーはかなり変わる。

高橋由の監督としての手腕は未知数。もしかしたら球史に残る名監督になるのかもしれない。しかし、現実問題として今の巨人に高橋由を超える代打の切り札は存在しない。1点差試合は2012年が20勝14敗、2013年が26勝18敗、昨季が23勝18敗と接戦に強く貯金を積み上げていたが、今季は30勝29敗とほぼ五分。山口、マシソン、西村の鉄壁リレーが崩れ、以前ほど競り合う展開で勝ち切れない中、主力の高齢化が進み更に代打の切り札までも失った。1点差試合が23勝27敗とマイナスだった2011年は3位に終わり優勝を逃している。監督就任と同時に今季限りでの引退も発表され「代打、俺」も使えない。自身の後継者を誰にするのか、その采配が成績に直結するかもしれない。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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