トリプルスリーの翌年は盗塁が減る?
昨季、ヤクルト・山田が.329 38本塁打 34盗塁で、ソフトバンク・柳田が.363 34本塁打 32盗塁で達成したトリプルスリー、これは打力と走力を高いレベルで兼ね備えた隙の無い好打者の証。達成のために最も難しいのは本塁打と盗塁の両立だ。同一シーズンに3割と30本塁打、3割と30盗塁を記録した選手と比べて30本塁打と30盗塁を達成した選手は極めて少ない。長いプロ野球の歴史の中でもトリプルスリーを達成したのはわずか10人だけ。しかも2回達成した者はいない。山田、柳田以外の8人のトリプルスリー達成翌年の成績を見てみると
岩本義行
1950年 .319 39本塁打 34盗塁 8盗塁死
1951年 .351 31本塁打 10盗塁 4盗塁死
別当薫
1950年 .335 43本塁打 34盗塁 7盗塁死
1951年 .309 16本塁打 22盗塁 9盗塁死
中西太
1953年 .314 36本塁打 36盗塁 16盗塁死
1954年 .296 31本塁打 23盗塁 9盗塁死
蓑田浩二
1983年 .312 32本塁打 35盗塁 4盗塁死
1984年 .280 26本塁打 5盗塁 2盗塁死
秋山幸二
1989年 .301 31本塁打 31盗塁 14盗塁死
1990年 .256 35本塁打 51盗塁 9盗塁死
野村謙二郎
1995年 .315 32本塁打 30盗塁 8盗塁死
1996年 .292 12本塁打 8盗塁 7盗塁死
金本知憲
2000年 .315 30本塁打 30盗塁 10盗塁死
2001年 .314 25本塁打 19盗塁 9盗塁死
松井稼頭央
2002年 .332 36本塁打 33盗塁 11盗塁死
2003年 .305 33本塁打 13盗塁 10盗塁死
打率、本塁打と比べて盗塁減が目立つ。しかし、盗塁死はそれほど変わっていない。トリプルスリー達成翌年に盗塁数を増やしたのは秋山幸二ただ1人。他の7人を合計すると盗塁数は233→100と大幅に減っている。というのもトリプルスリー達成者は長打力もある俊足選手、よりも走れるスラッガーの方が多い。
IsoPは長打率-打率で計算され、どれだけ遠くに飛ばせるかという純粋な長打力を示した指標。目安としては.200以上あれば誰が見ても長距離砲と言える。上記8人は
岩本義行 .171
別当薫 .223
中西太 .246
蓑田浩二 .193
秋山幸二 .221
野村謙二郎 .129
金本知憲 .218
松井稼頭央 .162
と.200以上の選手が多く、松井稼頭央も西武での11年間のIsoPは.197と非常に高い。そして山田は.204、柳田は.189とやはり長打力抜群。加えてどちらも通算打率は軽く3割を超える。史上初の2年連続トリプルスリー達成のためには、盗塁が最も高い壁になりそうだ。