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楽天が首位でソフトバンクがBクラス。パリーグの意外な幕開け

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

開幕から対戦が1巡した段階で多くの評論家が優勝を予想したソフトバンクが借金を抱え、前評判の高くなかった楽天が首位。今季のパリーグは意外な幕開けとなった。

楽天

楽天の67得点はリーグトップのロッテ、ソフトバンクの68得点に次ぐ好成績。しかも、ロッテは消化試合数が1試合多く、ソフトバンクは直近3試合で31得点と爆発し急激に伸ばしたもの。楽天は5得点以上の試合が過半数の7試合あり満遍なく得点していることがわかる。投手陣も44失点はリーグ2位と好成績を残しており、特に先発防御率は2.35で12球団トップ。先発が6回以上を投げ自責点3点以内に抑えるQSを達成したのは11試合、さらにこの上位指標である7回以上を投げ自責点2点以内に抑えたHQS数が9試合もある。救援防御率は6.43と芳しくないが、抑えの松井裕は7試合で4セーブを挙げ許した失点は本塁打による1点のみと安定。投打が噛み合っている。

ロッテ

楽天を0.5ゲーム差で追う2位のロッテ投手陣は楽天とは逆の様相。先発防御率は4.07だが救援防御率は0.93。内、益田、松永、西野が今季まだ失点を許していない。細谷と鈴木が引っ張る打撃陣もリーグトップの11本塁打、30二塁打と長打が多くOPSは.756で12球団トップ。盗塁も12回企図し失敗は1度だけ、91.7%と非常に高い成功率を残している。楽天と同じく投打がうまく噛み合っていると言えるだろう。さらに実弾所持により出場停止処分を受けていた新外国人のナバーロが今月下旬から1軍の試合も出場可能となる。好調な打線の厚みが増す。

西武

3位の西武は打率.277こそリーグトップだが、長打は二塁打が17本、三塁打が2本、本塁打が7本。リーグ平均は二塁打が18本、三塁打が3本、本塁打が6本だから長打はそれほど多くない。オープン戦で結果を残し期待されていた大砲の坂田、山川がシーズンに入ると鳴りを潜め、坂田はOPS.689と迫力に欠け、山川は現在2軍調整中。奮起が待たれる。投手陣は防御率3.66で昨季の3.69とほぼ同じ。1試合平均の失点もほとんど変わりなく昨季の69勝69敗、勝率5割から貯金を作るためには地力のある打線が調子を上げるか、投手陣で救世主が現れるか。開幕投手を務めた防御率1.80の菊池、16回無失点の岸が好調を維持すれば順位は上がるはず。

ソフトバンク

戦力充実で死角無しと思われていたソフトバンクだが開幕ダッシュに失敗し、まさかのBクラススタート。柳田の打率は.214となっているが20四球を選びOPSは.857と低打率ながら一定の攻撃力を維持し、他にも内川、中村、松田がOPS.800台を保っている。チームもここ3試合の成績を合計すると41安打5本塁打7盗塁31得点となり打線としての状態は上り調子。スロースタート気味だった王者のエンジンがかかってきたか。投手陣では昨季3.16でリーグトップだった防御率が現在は4.07でリーグ5位。先発では背信投球の続いた摂津が2軍落ちとなったが武田とバンデンハークは防御率1点台と安定しており大崩れすることはなさそう。救援防御率も4.93となっているが、サファテ、森、五十嵐の3人に限れば13 1/3回で2失点。こちらも大崩れは考えにくく勝ちパターンに持ち込めば優位は動かない。

日本ハム

ソフトバンクの対抗馬と思われていた日本ハムは借金3、得失点差でもマイナスとなっている。レアードが4本塁打16三振と当たればでかい打撃を披露しているが、主力打者の打率は.250台が並ぶ。しかしそれよりも痛いのが怪我人続出で今後に不安が残ること。2戦2勝、防御率0.56だった有原が腰を痛め登録抹消。岡、浅間も故障により離脱しており、陽も左足首のねんざで無理をさせられない状態と外野手に故障者が目立つ。勝ち星こそついていないがエース・大谷が防御率1.71と好投し、打っても打率.333、2本塁打と活躍しているのは明るい材料だが、開幕直後の体力がフルにある状態のでのこと。疲れがたまってくる中盤から勝負所の秋にかけてのことを考えれば早急なチームの立て直しは必須。早くも正念場を迎えている。

オリックス

オープン戦最後の8試合を6敗2分で終えたオリックス、開幕後も苦しい戦いが続いている。33得点は12球団最少で、85失点は12球団最多。開幕から12試合本塁打無しでOPSは12球団唯一の.500台。4盗塁は12球団最少、失策14は12球団最多と打てないだけでなく走れず守れず。投手陣は先発もリリーフ陣も崩壊気味で防御率は6.88。金子、西の2枚看板が試合を作れず、抑え候補のコーディエは登録を抹消された。QS率33%は12球団最少、WHIPは1.99と毎イニング2人の走者を背負っていることになる。与四球に至っては年間834個ペースで50年前に記録された日本記録656個を大幅に上回る勢いだ。まだ開幕直後で巻き返しは可能だがあまりにも負のデータが並び過ぎている。昨季の悪夢を繰り返さないためにも早くこの流れを断ち切りたい。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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