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海外在住者に朗報!日本のテレビを手軽に視聴!

鴻池賢三オーディオ・ビジュアル&家電評論家

海外在住者の娯楽と言えば、「日本のテレビ」を挙げる人が多いだろう。ネットの普及で日本のニュースがリアルタイムで読めたり、YouTubeなどで動画も楽しめる時代だが、日本のテレビ放送番組はレベルが高いし、母国語に浸るのは何より心が休まる時間だろう。

過去も、日本のテレビを見る事はできた。

違法な配信サイトや配信方法は論外として、日本の自宅に設置したレコーダーに、外付けの映像転送機器(親機)を追加する方法があった。

ソニーの「ロケフリ」はその代表格で、現在でも海外メーカーの製品なら手に入る。しかし、機器の追加購入や接続が面倒である上に、視聴側(子機)での操作にも難が多かった。また、親側にトラブルが発生すると、日本の家族が対応しきれないケースもあり、安定した視聴は難しい。

ソニー「外からどこでも視聴」機能のポイント

今回ソニーが発表した「外からどこでも視聴」機能は、2013年モデル以降であれば、既に購入・設置が終わっていても、放送を使ったソフトウェアアップデートで対応できる。今後発売の新モデルも対応するだろう。

レコーダーが自体が配信機能を持つことで、従来の外付けに比べ、設置も操作も快適そうだ。海外に留学する学生なら、実家にレコダーを設置して行けば良いだろう。自宅を引き払って引っ越しする海外駐在員の場合は困るが、親や親族宅にレコーダーを設置してもらう分には、法的なお咎めも無いだろう。

機器構成がシンプルなので、もしトラブルが生じたら、メールなどで連絡して、コンセントを抜き挿しを頼むだけで、復活できる可能性も高い。

ソニーの"新"発明か?

今回、ソニーが「国内初」として先陣を切ったが、技術自体は新しいものではない。現に、家庭内ならスマホやタブレットに配信できるのは一般的な機能である。今まで、レコーダーが"屋外"に配信できなかったのは、主にルールの問題だ。

2014年2月、NexTV-F(次世代放送推進フォーラム)が遠隔視聴を可能にする「リモート視聴要件」を発表し、デジタル放送のルール(運用規定)が改訂された。

つまり、ソニーの新発明でも独自機能でもなく、他社も続々とレコーダーに「リモート視聴機能」を追加することになるだろう。慌てずもう少し待てば、多種多様な製品から選べるようになる可能性が高いという訳だ。

例えば、全チャンネルを1週間録画する「全部録り」と、リモート視聴は相性が良さそうだ。海外在住者なら、録画予約を気にすることなく、話題のテレビ番組を見られる。取り逃がしも無い。

さいごに

放送局が直接インターネットで番組を配信する動きもあるが、国境を越えての配信は"ルール"の壁がつきまといそうだ。自宅のレコーダーを経由しての配信は、大きな目で見ると非合理的だが、現実解として受け入れるべきだろう。

ソニーに限らず、レコーダーが本格的なリモート視聴機能を備える事で、海外で日本のテレビ番組が見られるチャンスは増えそうだ。

オーディオ・ビジュアル&家電評論家

AV機器メーカーで商品企画職を務めた後、米シリコンバレーのマルチメディア向け半導体ベンチャー企業を経て独立。オーディオ・ビジュアル評論家として専門誌などで執筆活動を行うほか、エレクトロニクス 技術トレンドに精通し生活家電を含むホームエレクトロニクス、ネットワーク家電、スマート家電の評価、製品の選び方、賢い使い方、および未来予想をメディアを通じて発信中。NHKほかテレビ出演も多数。ビジュアルグランプリ(VGP)審査副委員長/米ISF認証ビデオエンジニア/米THX認証ホームシアターデザイナー/一般財団法人家電製品協会認定家電製品総合アドバイザー/甲種防火管理者

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