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日本が誇るオーディオの名門、あの「テクニクス」が復活!?

鴻池賢三オーディオ・ビジュアル&家電評論家

2014年8月17日、日本経済新聞が「高級音響機器「テクニクス」復活、パナソニック」を報道した。企業動向について報道の早い同紙だが、内容が不正確な時もある。実際の所、どうだろうか?

パナソニックは、2008年に「松下電器産業株式会社」(当時)を「パナソニック株式会社」に社名変更。同時に「National/ナショナル」ブランドも「Panasonic/パナソニック」ブランドに切り替えた。以降、「松下」や「ナショナル」を冠する企業も「パナソニック」を冠する名称に統一してきた経緯がある。一部の製品を除いて2000年に終息した「テクニクス」ブランドを復活するには大きな覚悟と決断が必要に違いない。

しかし、どうやら今回の「テクニクス」復活は間違いないようだ。

オーディオ業界は世界的に不振な時期が続いたが、ここ最近はCDよりも高音質な「ハイレゾ」(高密度音源)が人気で、欧州を中心に再び盛り上がりを見せている。

パナソニックにおいてはここ数年、欧州を中心に高品位なミニコンポで着実に市場の評価を積み重ね、昨年日本でも発売した「SC-PMX9」(筆者取材記事)は人気商品となっている。

また、「SC-PMX9」の好評を受けて、高音質パーツキットを付属させた限定バージョンの「SC-PMX9LTD」も発売するなど、「テクニクス」復活を臭わせる動きがあった。

復活の兆しを見せるオーディオ市場を見据え、着実に布石を打ってきたのだ。

日本経済新聞によると、

下期にアンプやスピーカーなどで構成する高級システムとコンポの2商品を発売する。価格は高級システムが400万~500万円、コンポは約40万円の見込み。最先端デジタル技術を使い、原音を忠実に再現するなど普及製品と一線を画す。

出典:日本経済新聞

、とある。

400万~500万円と言えば、現在のハイエンドオーディオ市場においても、頂点に近いレベルである。

かつての名門「テクニクス」が、どのような製品を送り出し、ユーザーを楽しませてくれるのか期待せずにはいられない。

こうしたダイナミックな動きは、手詰まり感のある、日本の電子産業の全体の刺激にもなりそうだ。

オーディオ・ビジュアル&家電評論家

AV機器メーカーで商品企画職を務めた後、米シリコンバレーのマルチメディア向け半導体ベンチャー企業を経て独立。オーディオ・ビジュアル評論家として専門誌などで執筆活動を行うほか、エレクトロニクス 技術トレンドに精通し生活家電を含むホームエレクトロニクス、ネットワーク家電、スマート家電の評価、製品の選び方、賢い使い方、および未来予想をメディアを通じて発信中。NHKほかテレビ出演も多数。ビジュアルグランプリ(VGP)審査副委員長/米ISF認証ビデオエンジニア/米THX認証ホームシアターデザイナー/一般財団法人家電製品協会認定家電製品総合アドバイザー/甲種防火管理者

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