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極寒!PCやスマホの結露故障に注意!

鴻池賢三オーディオ・ビジュアル&家電評論家
結露したノートPC

冬場にパソコンやスマホが起動しない!そんなトラブルが多発しています。その原因の多くは結露。

パソコンやスマホが使えないと、「何も出来ない!」と言っても過言ではない現代人。結露のメカニズムを知り、トラブルを未然に防ぎましょう!

電子機器の大敵 「結露」とは?

結露とは、空気が冷えることで飽和水蒸気量が低下し、空気中の水分が水滴となって現れる現象です。

冬場のガラス窓に付く水滴も結露です。身近ですね。

この結露が電子機器の内部で発生すると、「水没」と同様に、電気回路をショートさせて動作しなくなったり、故障の原因になるのです。

実験してみた

論より証拠。実験してみました。

故障して使えなくなったノートPCを極寒日(氷点下)の屋外に一晩放置。冷え切った状態のまま、一気に室温24度/湿度75%の屋内に移動させました。

結果、数分後に、金属部品を中心に曇りが現れ始め、時間が経つと大きな水滴に。結露だ!

結露は、キーボードの裏面、HDDケースや放熱部品など、金属部品に多くみられ、ICの上面にも。基板には影響が無いようですが、コネクタの金属部には細かな水滴が確認できました。

HDDカバーに大粒の水滴。流れて電子回路が水没する可能性も!
HDDカバーに大粒の水滴。流れて電子回路が水没する可能性も!
メモリIC。表面に細かな水滴が見える。
メモリIC。表面に細かな水滴が見える。
コネクタ部の金属部分にも水滴。ショートの可能性大!
コネクタ部の金属部分にも水滴。ショートの可能性大!

今回の実験は過酷な条件を想定したもので、また、写真を撮る都合上、内部を露出させるなど、一般的な使用シーンとは異なる部分もありますが、結露による水滴が、水没時と同様にショートを起こす可能性は充分に有ることが確認できました。

最新機器は結露に弱い?!

パソコンはますます薄型に、スマホは高性能で内部が微細化が進み、結露に弱くなっていると言えます。

例えば極薄のウルトラブック。「薄さ」は携帯性に優れますが、薄いが故に、低温下では内部まで冷えやすいと言えます。

空冷ファンを持たないノートパソコン、タブレット、スマホは、空気の流動性が少なく、結露に強いと言えますが、USB端子やヘッドホン端子などに発生した結露が内部に侵入する心配は残ります。

また、高性能化が進みつつも薄さが求められるスマホは、内部の部品や配線も微細化の傾向にあり、小さな水滴もトラブルの原因になってしまいます。

特に「ノマド族」は要注意!

結露は寒暖差が大きいときに発生します。

特に注意すべきはノマド族。極寒の屋外から、カフェなどの飲食店に入ると、冷え切ったパソコンが高湿で暖かい空気に触れるので、結露が発生し易い状況と言えます。

屋内でも油断は禁物で、寒い書斎に置いてあったノートパソコンを、暖かいリビングに持ち込むなどの際も、同様に注意が必要です。

ほか、筆者の経験として、宅配便などで長時間低温に晒された電子機器を温かい屋内へ持ち込んで、結露が発生したケースも何度かあります。家電や電子機器をネットで購入するケースが増えた現代、注意したいポイントです!

結露への対策方法

結露を防ぐには、急激な温度変化を避けるのが鉄則です。

ノートパソコンをカバンに入れて持ち運ぶ際は、裸のままにせず、クッション性のある保護ケースなどに入れましょう。こうすることで、外出時に「冷え」から守ることができます。

スマホをクチが開いたバックへ無造作に放り込むのもNG。外気に触れてスマホが冷えてしまいます。少なくともファスナーがあれば閉じる、できれば保護ケースに収める、可能であれば内ポケットなどに入れて冷やさないようにするなど、配慮しましょう。

また、カフェや飲食店など、暖かい上に湿度の高そうな場所で取り出す際は、保護ケースに入れたまま、室温に馴染むまで待ちましょう。

結露が疑わしい場合の対策

カフェでノートパソコンを取り出して、表面が水分で曇るようなら、結露の可能性アリ!結露した状態で起動すると回路に電気が流れてショートし、トラブルの原因になるので、ノートパソコンの温度が室温に馴染むまで、コーヒーでも飲んでゆっくり待ちましょう。

結露によるトラブルが発生してしまったら

起動しない、動かない・・・など、結露によるトラブルが疑われる時は・・・

可能であれば、真っ先に「電源OFF」を試み、速やかにサポートセンターなどに相談しましょう。

噂の対処方法は効果的?

結露の解決策には、内部が乾燥するまで待つ、乾燥剤を入れて密封する、ドライヤーで乾かす・・・といった情報があります。

しかし、これらはプロが正しく施せば効果がありますが、素人では乾燥度合いの判断を見誤る可能性があるので危険です。

因みに、実験後に結露したパソコンが何時間で自然乾燥するか、経過を観察しましたが、3時間程度では大きな水滴が残ったままでした。

一度内部に発生した水滴を外部に逃がすのは難しく、分解メンテナンスができる業者に任せるのが安心です。

さいごに

発生してしまった結露の解決には、費用も手間もかかります。大切なデータを失ったり、仕事が滞ることによる損失も図り知れません。

結露はちょっとした注意で防ぐ事ができます。対策よりも「予防」を心がけ、冬場もノートパソコンやスマホをフル活用し、快適に過ごしましょう!

オーディオ・ビジュアル&家電評論家

AV機器メーカーで商品企画職を務めた後、米シリコンバレーのマルチメディア向け半導体ベンチャー企業を経て独立。オーディオ・ビジュアル評論家として専門誌などで執筆活動を行うほか、エレクトロニクス 技術トレンドに精通し生活家電を含むホームエレクトロニクス、ネットワーク家電、スマート家電の評価、製品の選び方、賢い使い方、および未来予想をメディアを通じて発信中。NHKほかテレビ出演も多数。ビジュアルグランプリ(VGP)審査副委員長/米ISF認証ビデオエンジニア/米THX認証ホームシアターデザイナー/一般財団法人家電製品協会認定家電製品総合アドバイザー/甲種防火管理者

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