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秘密漏洩の抜け穴!ネット翻訳のリスク

鴻池賢三オーディオ・ビジュアル&家電評論家
写真はイメージです(写真:アフロ)

インターネットの普及で情報のやり取りが便利になりましたが、反面、大量の個人情報流出事件など、リスクも高まっています。

企業や公的団体はこうした教訓から、以前にも増して、外部からのサイバー攻撃への対策はもちろん、内部でも情報取扱いの制限や規定など、セキュリティー対策に注意を払っていることでしょう。

しかし安心は禁物。思わぬ所にも「秘密漏洩の抜け穴」、「落とし穴」があるものです。

その1つとして注意したいのが「ネット翻訳」。利用者の意識不足で、大問題に繋がる危険性を秘めています。

筆者がそう思うのは、報道からだけではなく、実際にある体験をしたためです。

それは約15年も前のできごとですが、自身の作成した英文をチェックしようと、無料のネット翻訳サービスに入力すると、翻訳結果として全く違った内容の日本語が現れました。読み進めると、誤訳ではなく、企業間のメールであることが分かりました。

どうやら、システム側に欠陥があり、他人の文章が表示されてしまったようでした。自分の入力した文章も、どこかの誰かに届いているとおもうとゾッとしたものです。

この件について詳しい原因は分かりませんが、ネットサービスを利用している限り、入力した情報が何処かに漏れるリスクはゼロにできません。

もし悪意を持って運営しているサイトの罠にはまってしまえば最悪です。情報を悪用されたとしても、不正アクセスに該当しない限り、違法性を問うことは難しいでしょう。

無料のネット翻訳サービスは手軽かつ便利で、存在価値を否定するものではありませんが、企業や個人間のメールをそのまま放り込むのはあまりにも危険と言えます。入力された情報を完全に保護し、生じた経済的損出を補償すると明言しているサービスでない限り・・・

翻訳に限れば、ローカル環境で動作するソフトを利用したいものです。

なお、ネットサービスに絡むリスクは、以前から問題が指摘されていて、もはや常識とも言えます。

しかし、翻訳に限らず、無料のメール、チャット、通話サービスなどが日常に深く浸透した今、リスクが潜んでいることを忘れがちなのも事実です。

企業や団体がネット翻訳の使用を制限することも一案ですが、サービスは今後も無限に登場し、リスクを先回りして回避することは困難でしょう。高度な機密を扱う職場以外、個人の携帯端末を取り上げる訳にも行きません。

結論として、ユーザー各自が危険への感度を高めるしかありません。この記事がその一助になれば幸いでです。

オーディオ・ビジュアル&家電評論家

AV機器メーカーで商品企画職を務めた後、米シリコンバレーのマルチメディア向け半導体ベンチャー企業を経て独立。オーディオ・ビジュアル評論家として専門誌などで執筆活動を行うほか、エレクトロニクス 技術トレンドに精通し生活家電を含むホームエレクトロニクス、ネットワーク家電、スマート家電の評価、製品の選び方、賢い使い方、および未来予想をメディアを通じて発信中。NHKほかテレビ出演も多数。ビジュアルグランプリ(VGP)審査副委員長/米ISF認証ビデオエンジニア/米THX認証ホームシアターデザイナー/一般財団法人家電製品協会認定家電製品総合アドバイザー/甲種防火管理者

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