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NY原油20日:シェールオイル生産調整の思惑で、反発

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油5月限 前日比0.64ドル高

始値 56.16ドル

高値 57.17ドル

安値 54.85ドル

終値 56.38ドル

特に目新しい材料は見当たらなかったが、買い優勢の展開になった。先週末は調整売りで小反落していたが、週明けで改めて買いポジションを構築する動きが目立った。

時間外取引では、サウジアラビアの強力な供給圧力が警戒され、調整売りが膨らむ場面も見られた。石油輸出国機構(OPEC)の3月月報では、日量1,000万バレルを超える産油量が報告されており、ヌアイミ石油鉱物資源相も改めて1,000万バレルの需要があり、それに対応していることを報告している。このため、純粋な需給バランスの視点では、シェールオイルの減産の有無を巡る議論は殆ど意味を持たなくなるような状況になっている。ただ、現在の原油市場では米国のシェールオイル生産環境が最大の関心事になっており、引き続きシェールオイルの生産鈍化・減産の思惑が、下値を強力にサポートしている。

冷静に考えれば、シェールオイルの生産が日量数万バレル減少したとしても、大きな意味はない。それ以上にOPECからの供給が増えており、供給サイドで需給引き締め圧力が強まるような環境にはない。ただ、季節要因から米国内の原油在庫の伸びが鈍化し易いこともあり、原油市場では引き続き強気ムードが支配的である。

4月の原油相場は、シェールオイル生産環境悪化の一点を以って安値是正を進めているが、実際の供給過剰を解消する道筋が描けない中での原油高には強い違和感がある。最近のシェールオイル生産動向は、国際需給の緩和状態を若干是正できるか否かという視点に留まる。短期トレンドは明らかに上を向いているが、今後は高値是正の必要性が強く、下値不安の大きい価格水準と評価している。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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