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NY金24日:米耐久財受注の上振れで、急反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金6月限 前日比19.30ドル安

始値 1,193.00ドル

高値 1,195.40ドル

安値 1,174.10ドル

終値 1,175.00ドル

為替相場はドル安方向に振れたが、チャート主導の売り圧力が強く、急反落した。

アジアタイムは1,190ドル台前半でじり安の展開になったが、欧州タイム入り後に切り返す場面が見られるなど、明確な方向性は打ち出せなかった。しかし、ニューヨークタイムに入ると再び戻り売り圧力が強まり、一気にマイナスサイドに沈んでいる。3月米耐久財受注が前月比+4.0%と市場予測(+0.6%)を大きく上回ったことなどを手掛かりに、改めて利上げに対する警戒感が強くなった模様。前日終値を下回った所で買い方のストップロスも巻き込み、一気に下げ幅を拡大している。1,175~1,180ドルのレンジで下げ一服となるも、その後の反発力は限定された。

3月耐久財受注に関しては、変動の大きい民間航空機が+30.6%となった影響が大きく、見掛けの数値程には良好な数値とは言えない。輸送機器を除くと-0.2%、コア資本財受注だと-0.5%であり、寧ろドル高が米製造業セクターにダメージを与えているとの評価も可能な数値になっている。ただ、マーケットでは利上げ着手を巡る議論に影響を及ぼすような数値ではないとの楽観的な評価が優勢であり、金相場を押し上げることには失敗している。ドル安環境にあって続伸しても違和感はなかったが、週末を前に買い玉整理の動きが強く、一気に下げ幅を拡大している。

手掛かり難から米指標に一喜一憂する不安定な地合が続いている。28~29日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えているが、同会合は特に踏み込んだ動きは見られない見通しであり、経済指標や要人発言に、今後の米金融政策の手掛かりを求めざるを得ない状況にある。本日はギリシャ長期金利が再び上昇に転じているが、積極的に欧州債務リスクを織り込むような動きも見られない。引き続きギリシャ情勢を手掛かりに突発的な買いが膨らむリスクは残されているが、このまま沈静化に向かうのであれば、金価格の戻り売り歩調に変化はないだろう。緩やかなペースで、米金融政策の正常化プロセスを織り込む展開が続く見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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