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ソロス・ファンド、低迷する金鉱株への投資拡大

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

米証券取引委員会(SEC)の開示資料によると、著名投資家ジョージ・ソロス氏の率いるソロス・ファンド・マネジメントは、今年4~6月期に産金大手バリック・ゴールドの株式を188万6,000株、金額にして2,010.5万ドル(約24億9,780万円)購入していたことが明らかにされた。

金価格に関連した投資としては、他に金鉱山会社株の上場投資信託である「Market Vectors Gold Miners exchange-traded fund」も76万1,000株、1,351.5万ドル(約16億7,910万円)保有していることが報告されているが、こちらの保有株数は昨年10~12月期から変化はみられない。このため、金鉱株全体への投資を継続しつつ、新たに個別産金会社バリック・ゴールド株の保有も開始した形になる。

このソロス・ファンド・マネジメントは、13年4~6月期に金現物に直接投資する「SPDR GOLD SHARES」を完全売却したが、14年入りと前後してバリック・ゴールド、ニューゴールド、ヤマナゴールドなどの金鉱株に対する投資を増やし、14年1~3月期には産金会社株と金鉱株ETFの合計で2億1,225.5万ドルもの投資を行っていた。

その後、14年10~12月期に「Market Vectors Gold Miners exchange-traded fund」を除く全ての金鉱株投資から撤退していたが、今年4~6月期に改めてバリック・ゴールドに対する投資に着手していたことが確認されたのが、今回のSEC開示資料である。

金価格は2011年の高値1オンス=1,923.70ドルから4割を超える値下がりとなり、約5年半ぶりの安値を更新している。これは当然に産金業界の経営環境に対する強力な逆風になっているが、こうした中でソロス・ファンド・マネジメントは金鉱株に対する投資規模(金額ベース)を一気に2.4倍にまで拡大している。

一時的なポートフォリオの調整なのか、それとも値頃になった金鉱株に対する逆張り投資なのか、著名投資家ファンドの次の一手が注目される。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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