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債券市場は情報が命

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

8月27日に17,18年ぶりとなる屋形船での牛熊友の会を開催させていただいた。いわゆるオフ会である。金融市場関係者を中心に80名を超える方達に集まっていただいた。1998年の屋形船にも参加いただいたベテラン勢に加え、比較的若い人達も加わり、年代もそこそこ幅広い層の会となった。

屋形船ということで途中、レインボーブリッジやスカイツリー近くで停船し、夜景を楽しめるのだが、この夜景を見る間も惜しんで話し込んでいる市場参加者が多数いた。もちろん飲み会の席であり久しぶりに再会し近況報告等している方もいたとみられるが、参加していた方々によると債券市場についての熱い議論があちらこちらで行われていたそうである。

債券市場に限らず金融市場での戦いはまさに情報戦となる。ただし、情報を単に掴むだけでなく、その背景にあるものを含めて認識しないと、なかなか相場を読み切れないところがある。以前であれば、その中心にあったのが投資家の情報となっていた。今回の屋形船にもセルサイドだけでなくバイサイドの方も多数参加されていた。ただし、いまは債券市場の主要投資家が偏っている。現在の債券市場を動かしているのは日銀と海外投資家が中心となっている。

特に日銀については9月の金融政策決定会合で総括的な検証が発表され、それを受けての追加緩和手段の変化なども市場参加者の大きな関心となっている。その日銀の動向なども車座になって議論されていたものと思われる。

ちょうどジャクソンホールでカンザスシティ連銀主催のシンポジウムが開催されていたタイミングでもあり、FRBの利上げの行方などについても議論が交わされていたものと思われる。

債券市場はこのように社内ではなく社外の人との交流というか、情報の共有が非常に大切なものとなる。これは金融機関等同士だけでなく、たとえば日銀と本来の意味での市場との対話などにも必要なものとなるのではなかろうか。市場は人と人によって形成されている以上は、その人との繋がりは重要である。

今回の屋形船がそういった一助となってくれればと思っている。そこにベテラン勢と若手との世代間の交流も加わってくれるとなおうれしい。若い世代は金利がある世界をあまり体験していないはずであり、金利があった時の債券市場の話をベテランから聞くだけでも参考にしてもらえるのではないかと思う。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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