「1月も海外投資家による国債の大量買越し継続」
2月20日に日本証券業協会は1月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。
1月の公社債投資家別差し引き売買高
注意、マイナスが買い越し
単位・億円
()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別
都市銀行-1937(751、-1450、-1191)
地方銀行-3109(-1525、-564、-126)
信託銀行-4379(-2102、-2289、157)
農林系金融機関-2784(-2047、103、20)
第二地銀協加盟行-220(-175、-99、30)
信用金庫 306(-615、-162、2029)
その他金融機関-133(-1182、70、1386)
生保・損保-1996(-2684、557、493)
投資信託 1477(-63、349、1627)
官公庁共済組合-110(-32、1、0)
事業法人-391(-80、-11、1)
その他法人-160(-165、25、110)
外国人-23784(-1153、-504、-19500)
個人 160(3、25、4)
その他 17286(8735、3849、7728)
債券ディーラー 713(132、-177、727)
11月8日の米大統領選挙でのトランプ氏が勝利したことをきっかけに金利高、ドル高、株高が起き、これはトランプ・ラリーと呼ばれた。12月のFOMCでの利上げ観測が一層強まり、米長期金利はあっさりと2.5%台に乗せてきた。しかし、その後は2.5%台に乗せると跳ね返されるような状態が続いている。それに対して米株の上昇は続き、ダウ平均、ナスダック、S&P500ともに最高値を更新した。
1月の日本の債券市場では債券先物は150円台で推移するなどしっかりした展開となっていた。ところが1月25日に日銀が予想されていた中期ゾーンの国債買入をスキップしたことで地合が変わった。テーパリングかとの思惑も出て債券は下落したのである。40年債利回りは1%台に上昇。日銀は国債の利回り上昇を抑制するため、27日の国債買入で5年超10年以下を増額した。しかし、市場の動揺は続き2月3日に10年債利回りが0.15%に上昇したことで、日銀は指し値オペを実施した。
1月の国債の投資家別売買高をみると都銀は1937億円の買い越しとなり、12月の5592億円の売り越しから買い越しに転じている。
海外投資家は中期債主体に2兆3784億円の買い越しと、12月の2兆6198億円の買い越しよりも額は多少減少したものの、大量の買い越しは続いている。
海外投資家の売買状況
月 売買高(マイナスは買い越し)、(超長期、長期、中期)、全体売買高、うち中期
2016年 4月-36565(328、-9142、-27271)、294983、62513
5月-16775(1347、-6186、-10933)、246889、34315
6月-36565(328、-9142、-27271)、344055、65055
7月-16693(1860、-4453、-13200)、275366、61036
8月-16838(-1108、-5390、-9702)、302397、65718
9月-27674(-3320、-4283、-19310)、380542、102124
10月-5717(1051、-5636、166)、264616、62534
11月-11672(2275、-2448、-10674)、302551、48912
12月-26198(-970、2054、-26261)、317612、57609
2017年
1月-23784(-1153、-504、-19500)、294839、61994