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日本と中国の米国債保有額の差が縮小

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、最新の数字となる昨年12月分で、日本はトップの座を維持していたものの、中国との差が縮小していた。中国は昨年4月あたりから保有する米国債を減少させていたが、12月は久しぶりに増加に転じた。これに対して日本は11月から米国債保有額を減少させた。この結果、日本と中国の保有額の差は11月が593億ドルとなっていたのが、12月は324億ドルに縮小した。

上位10か国の12月の数字は次の通り、単位10億ドル、()内は11月分

日本(Japan) 1090.8(1108.6)

中国(China, Mainland) 1058.4(1049.3)

アイルランド(Ireland) 288.2(275.2)

ケイマン諸島(Cayman Islands) 263.5(260.6)

ブラジル(Brazil) 259.2(258.3)

スイス(Switzerland)  229.3(229.5)

ルクセンブルグ(Luxembourg ) 223.4(221.0)

英国(United Kingdom) 217.1(212.0)

香港(Hong Kong ) 191.4(185.5)

台湾(Taiwan) 189.3(183.1)

米国債の利回りの推移を見てみると、12月15日に米10年債利回りは一時2.64%まで上昇した。この背景にはFRBによる利上げと2017年の追加利上げ観測があった。12月14日のFOMCでは全会一致で政策金利を年0.25~0.50%から0.50~0.75%に引き上げている。また、FOMCメンバー17人の利上げ見通しは2017年に3回と前回9月の2回から増えた。これを受けて米10年債利回りは2.6%台に上昇したが、ここがいったんピークとなった。

その後の米10年債利回りは2.5%台に乗せても押し返される格好となっている。米国株式市場ではトランプ政権の経済政策への期待もあり、12月末にかけてダウ平均は2万ドルに接近した。しかし、米長期金利の上昇は抑制された格好となっていた。ここには日本からの米国債の売却分を中国がカバーするような格好となっていたこともその背景にあった可能性がある。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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