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シリーズ:安倍政権2年の通信簿と選挙の争点8「消費税増税の延期で財政再建の道筋は描けるか」(2/2)

工藤泰志言論NPO代表

工藤:社会保障の持続可能性、つまり、これから社会保障の足りないところを埋めながら持続的なものができるかどうかが問われています。今年6月に発表された年金の財政検証も含めて、年金制度や医療保険制度などいろんなところに本質的な構造問題がけっこうあります。それに対してきちんとしたことをやらなければいけないというのが、西沢さんがこの間ずっと主張していた点だと思います。その視点から見て、追加の増税がない中で、歳出を本当に11兆円削減することはできるのでしょうか

西沢:追加の増税がないとできません。歳出削減といっても、おそらく11兆円のうち半分にもいかない。今、国の一般会計だけで社会保障関係費が約30兆円ですが、社会保障給付費全体で110兆円近くに達しています。ですから、110兆円のうち例えば給付を10兆円減らしても、国庫の歳出が減るのはその3分の1の3兆円くらいになります。社会保障給付費を10兆円減らすのは、間違いなくできないでしょう。

工藤:10兆円減らすというのは、どういうことを想定すればいいのですか。

歳出削減しながら増税、の議論を

西沢:例えば年金を減らすなどといったことです。それは一朝一夕にはできないし、高齢化も一段と進むので所要額は増えていきます。

また、財政健全化はとても重要ですが、一方で、高齢者人口が増え、現在、年間120万人の人が亡くなっています。これがこれから160万人に増えていくわけです。その人たちの亡くなる場所をどのように確保するのかといった問題もありますし、あるいは、確かに年金を削れば帳尻は合いますが、貧困高齢者が大量に発生したときにどう対応するかといった問題もあります。確かに、給付を切れば財政は良くなりますが、一方で国民生活が脅かされることになりますから、私は、歳出削減をしつつも増税を中心に議論していくしかないと思っています。

工藤:鈴木さん、増税を延期するとあまり時間がない中で、黒字化の目標設定を堅持すると言っているのですが、この目標の意味とは何なのでしょうか。日銀の国債買い入れを含めて、日本の経済・財政がかなり危うい均衡の中に立っている中で、市場に何度もコミットメントしている。しかも、今回、解散表明の時ですらそれを言った。これを堅持できなくなる状況になれば、どういう事態になるのでしょうか。

鈴木:「成長するので大丈夫だ」という漠然とした議論が、市場などにもあると思います。実際、税収は少し増えています。しかし、やや専門的になりますが、私たちが減らさなければいけない給付は何かというと、賃金対比の給付水準です。なぜなら、賦課方式でやっている制度だからです。保険数理の公正さとか所得分配の正しさを持続可能なものにすることが目的ですが、それを経済成長というダイナミズムとのバランスの中で構想しなければいけない。所得分配のあり方、あるいは公正な保険という問題なので、成長してもしなくても制度を直さないといけないわけです。成長すればみんなでそれなりに豊かになるし、成長しなければみんなで貧しくなる。ただし、いずれのケースであっても、現在の仕組みは持続不可能だから今の問題があるわけですので、賃金対比の給付水準を引き下げていかないといけない。

そういう改革によって財政健全化を進めていくということを信じてもらうためには、骨太2006やその前の1997~98年に作った財政構造改革法のような、きちんと数字を伴った計画をつくらないといけない。日本はこの20年の間に、財政構造改革に数回失敗しているわけです。そこには、社会保障制度改革とうまくリンクしていなかったとか、地方財政の改革とうまくリンクしていなかったとか、あるいは景気弾力条項のようなものをうまく考えていなかったなどの教訓がたくさんあります。その教訓を活かした新しい財政再建プランを、歳出削減や増税に関する数字を持ったものとしてつくっていけるかどうかが課題です。

工藤:それが絶対に実行可能で、しかも実行を担保させないといけない。

鈴木:さらに申し上げると、2020年に黒字化すればいいという問題ではないわけです。高齢化はその後さらに進んでいくので、我々が目指したいのは、2020年代、30年代を乗り越えていけるような方向性を2020年ごろにつくれるかどうかという話なのです。もちろん、2020年度時点でどのくらい調整が必要かということは重要なのですが、そこで終わりではないのですね。

工藤:これは本質的な話になってくるのですが、「それを本当に実行できるか」、少なくとも安倍政権は、財政構造改革なり財政の再建に熱心だったのでしょうか。

土居:私は、それほど熱心だとは思いません。消費税を増税するという旗を掲げて補正予算を組んだのですね。それが誤って「消費税増税は公共事業に回されたではないか」のようにも取られたりするということは、財政に対しては全然熱心ではないと言わざるを得ません。

工藤:あと、リーマンショック後も歳出が非常に多い。この前のアベノミクスの評価の時も言ったのですが、戦後、どんなに成長しても、入ってきた税収は60兆円くらいです。今、90兆円くらいの歳出が高止まりして、それを減らそうという動きがない。そもそも、財政の余剰をつくる構造ではないわけです。日本の政治や政権はそれを何も考えていないという状況の中で、「どうやって財政再建ができるのだろう」か。安倍政権が「2020年までのプライマリーバランス黒字化目標を堅持する」と明言したということは、ある意味で目標に対してかなり追い込まれてきているのだなと思います。逆に、「それほど財政が厳しいのではないか」と感じてしまうこともある。黒字化を成り立たせる計画をつくるのがかなり厳しいということなのですが、鈴木さんにもう一度聞きたいのは、この目標が達成できなかった場合、どんな状況になるのでしょうか。

財政破綻の姿とは――インフレ、円安で落ちていく国民生活の水準

鈴木:そのご質問は、要するに財政破綻を想像するということになります。よく「財政破綻すると金利が上がる」と言われますが、デフレから脱却してくれば、それでなくとも名目金利が上がってきて政府の利払い費が増大します。日本政府はこれだけの負債を抱えたにもかかわらず、1985年から2004~05年くらいまでずっと政府の利払い負担のGDP比が下がってきていました。しかし、その後はそこから徐々に上昇しています。つまり、債務の増え方の圧力と、金利がうまく抑えられている圧力とが逆転したわけです。ですから、財政健全化が進まないことによって金利が上がり出すと、利払い負担がかなり増えてくる。今は「プライマリーバランス赤字」と言っているのですが、PBを多少改善させたとしても、今度は利払い負担が増えて「財政赤字」全体がかなり大きくなっていく。利払い負担も立派な赤字です。今までPBしか考えていなかったけれども、トータルの財政赤字が非常に大きくなるという現象が生じて、いわば利払いのために国債を発行するという状況が生まれるリスクがあります。

ただ、今、日銀が2%の物価目標で金融緩和をやっていますから、日銀が金融政策の一環として、資産としての国債を買い入れることをずっと続けるとすれば、間接的に財政を支えることになります。そうすると、金利は上がらないことも十分起きうるわけで、そのときに何が起きうるかといえば、インフレや円安の加速ということになります。インフレや円安で、結局、実質的な所得が下がって国民生活の水準をどんどん落とすことになる。財政破綻の姿というのは、そういうことだと思います。

工藤:2020年のPB黒字化は途中の一里塚であって、最終的には、これからの急激な高齢化対応をするだけでなく、今の国債累増の構造を直していかなければいけない。土居さんは政府のいろんな審議会にも入っていますが、本当に財政再建をやるという覚悟が、日本の政治にあるのでしょうか。

土居:残念ながら、政治にはないというべきだと思います。結局、予算は収入と支出の尻を締めなくてはいけなくて、もちろんそれは内閣としてその責任を取るということなのですが、実務的な作業は、結局財務大臣が責任を取って、財務省がやるということになります。結局、予算を要求する側は、ただひたすら要求するだけに終わってしまう。それで認められたら「勝った」、認められなければ「負けた」という雰囲気でやっているというのが実態だと思います。

本来、政治家は、財務大臣だけでなく、政調会長でも総務会長でもどなたでもいいのですが、収支の尻を締めるということに対して猛烈に熱心な人がいないといけない。ところが、ただひたすら利己的な要求を言うだけの人か、ないしは、かなり空理空論だけれども「こうやったらうまくいくのではないか」と実現できないようなことを言う人か、どちらかのタイプの政治家が多いということが非常に残念です。具体的に財源も意識しながら、それでいて国民の要望も聞き入れながら、「どうやって収入と支出をマッチングさせていくのか」というところにものすごく神経を使う、そういう政治家があまりにも足らなさすぎると思います。

工藤:社会保障という点ではどうでしょうか。これも国民にとって非常に大きな、自分たちの人生を決める話になるのですが。

高齢化の時代に沿った社会保障財政モデルへの抜本改革を

西沢:今の社会保障の財政構造は、赤字がどんどん増えていく構造になってしまっています。というのも、各社会保険法の法律の前の方に「国庫負担」という項目があって、それは「支出の一定割合を国庫負担にします」という義務的経費の法律になっているのです。

これは、高齢化率が低くて、税収の自然増が見込めたころの過去のモデルだと思います。ですから、高齢化と人口減少が進むなかで、社会保障給付は自然に増えますが税収は減っていくので、赤字は拡大するに決まっている。

本当は、こうした社会保障財政の過去のモデルを新しいモデルに改める―これはまさに税と社会保障の抜本改革なのですが、これに取り組む発想がない限り、今の社会保障財政の構造のまま削ったり増やしたりしていっても、高齢化のスピードに追い付かないと思います。

政治家の資質ももちろん重要ですが、政治家自身も制度が複雑すぎて、ガバナンスができていないですし、国民も理解できていない。そうではなくて、高齢化が進む中でのこれからの時代に合った社会保障財政構造に改めない限り、難しいと思います。

工藤:しかし、今、皆さんが言われた話は、選挙の場ではほとんど語られない。今回の選挙は、消費税引き上げを延期するということが非常に大きな問題提起になっているのですが、選挙は昔と同じような構造が続いている。こういう局面を、有権者はどのように考えなければいけないのでしょうか。

鈴木:「消費税の税収は社会保障4経費(年金、医療、介護、少子化対策)に充てる」と、現在の消費税法には書いてあります。一体改革とはまさにそういうことだったわけです。ですから、社会保障給付を増やしたい、あるいは減らしたくないということであれば、もちろん消費税以外の財源でもいいのですが、消費税率をきちんと上げて持続可能な状況をつくらないといけない。それをまず認識する必要があるということです。ところが、実際には、景気回復で税収が少し増えると「税率を上げずに、それを社会保障に回そう」とか「法人税減税の財源に使うことにしよう」とか、循環的に増えたに過ぎない税収を使ってしまいがちなわけです。税収が減るときには歳出を減らしたり税率を上げたりせずに国債を発行するわけですから、この税収と歳出の非対称性をずっと続けてきている。「将来世代、あるいは日本という国の将来を考え、さすがにここで何とか歯を食いしばろう」という決断をしたのが2012年の一体改革だったはずです。

社会保障というのは、病気になった方とか長生きした方への給付ですから、元来、広い意味での弱者対策なのですが、消費税率を引き上げようというときには、それはそれで軽減税率や簡素な給付措置、一時的な公共投資のような対策が必要だという話になっています。8%に上げる時にもいろいろなことをやりました。工藤さんがおっしゃったように、リーマンショック以降、高止まった歳出水準をなかなか下げられないでいるというのはその通りです。

目の前の利害だけを考えればこれでいいかもしれないけれども、全体として長期的に見て持続性があるのかどうかを考えなければなりません。一票の格差をきちんと是正しないと非常にゆがんだ判断になるという問題もありますが、有権者が長い視野も持ってこういう問題を考えるべき局面に、いよいよ来ているのだと思います。

工藤:こういう構造問題に、日本が本気になって取り組まなければいけない時に、政党はどのような約束をすべきなのでしょうか。

成熟した政党政治とは

土居:もちろん、投票率が高いからといって、高齢者の方ばかりを向いて、結局は財源のしわ寄せを若い世代ばかりにさせているという構図ではない、きちんと老若合わせて、ないしはまだ見ぬ将来世代にもツケを回さないようなかたちで、どうやって社会保障なり今の行政サービスの財源を支えていくのかということを、きちんと明らかにしていく。何かのスケープゴートを、例えば「公務員人件費さえ削れば何とかなるのだ」と逃げ道にしないようなパッケージをきちんと示せるようにしなければいけない。

私は、小選挙区制は良いと思っているのですが、本来の政党本位の小選挙区制であれば、まずは政党として「何が国民に対する約束なのか」ということを打ち出す。アメリカの政党もイギリスの政党も、きちんと候補者を束ねているような大企業的な組織になっていて、そこで小選挙区がある。そういうことであれば、辻褄が合うと思うのですが、「お山の大将」のような小選挙区のそれぞれの候補者がいて、極端に言えば「党中央は私の気に入らないことも言っている。それには私は従わないつもりで、私は私なりに有権者に訴えていくのだ」というような、それぞれの選挙区で自分の言いたいことを言って当選していくというやり方だと、なかなか政党政治が成熟していかないのかなという感じがします。

工藤:政党政治が機能していないという惨憺たる光景が今の日本の政治だ、ということでしょうか。西沢さん、これを将来に向けて動かすためには、政党はどのような手法で国民に約束することが問われているのでしょうか。例えば、財政規律を法律で縛っていくとかいろいろな話があります。

西沢:先ほど土居先生から政党のガバナンスの話がありましたが、政党というのは今、社長の集まりのような感じになっています。本当は、スタッフとか組織が重要だと思うのです。ですから、選挙のときにドタバタでマニフェストをつくるのではなく、日ごろから政党も情報発信して、私たちがウォッチする必要があります。

また、これは政治家だけの問題ではないのですが、政策に関する労働市場の流動性が低くて、本当は言論NPOのスタッフが政治家になってもいいし、私たちがなってもいいし、終わったらまたここに戻ってきてもいいということになるといいのですが、硬直的なかたちになっているのが非常に問題だと思います。

もう一つは、これから高齢化が進んでいく中で、政治家が増税を訴えて選挙に勝てるかといえば、よほどのスーパースターでない限り勝ちにくい。それを訴えても、国民が理解できるようにシステムをシンプルに変えて、また情報公開をシンプルにしていくような制度をつくっていかないと、政治家がいくら蛮勇を振るえど、うまくいかない。そのシステムの中でサポートしていく必要があると思います。

土居:「増税を訴えてもなかなか選挙で勝てない」というのは、確かに、一人一人の候補者が自分の選挙区で勝てるかというレベルの話をする時にはそうかもしれません。しかし、実は、1996年の衆議院選挙もそうだし、2012年の衆議院選挙で自民党が勝った時も、一応、増税を党として認めていた。極端に言えば、もちろん個々の政治家が「もうこういう財政状況なのだから私は増税を訴えます」と蛮勇を振るってくれてもいいのだけれど、いきなりそうはならないのであれば、まずは政党が党として「それをやります」と訴える。個々の政治家は、それに属している政党の候補者だということで、政党を看板というか防風壁としてやるという手も、日本の政治にはあるのではないかと思います。

工藤:確かに、三党合意の前は、増税ということに関して政党が問われたわけです。その中で、確かにマニフェストに書かれていた。今回の事態はどうかというと、安倍さんは別に増税から逃げたわけではない。延期して次にやると言っている。ただ、安倍さんが首相として本当にそれをやれるかどうか、という話ですね。今の話ですと、政治的な構造にしても、社会保障のいろいろな現行の構造にしても、かなり厳しい状況で、今まであまり取り組んでいなかった、ということになっています。そういう中での選挙ですが、これを有権者はどう考えればいいのでしょうか、鈴木さん、どうでしょう。

鈴木:安倍首相がもし給付を減らさなければいけないと本気でお考えなのであれば、それだけでは国民にとっては生活水準を落としてしまうことになるわけです。この点は、給付を減らさなければならないことを、成長戦略とうまく組み合わせる必要があって、「医療・介護は成長戦略ではない」とおっしゃる方もいますが、私はそんなことはないと思います。いわゆる官製市場で、資源配分を政策的・政治的にやっていますから、もっと工夫することによって、潜在的な、あるいは既に行列になっている需要を顕在化することができるはずです。年金にしても医療・介護にしても、成長戦略といかに結びつけるかの戦略をもつ政党が必要です。それで新しい市場ができて民間側の投資が起きないと、増税と歳出削減だけでは財政健全化は達成できないと思います。

工藤:分かりました。ただ、成長戦略は時間軸がない目標です。そのプロセスの中で税収がそれによって大きく変わるという、構造的な問題なのですね。

鈴木:負担増と給付削減を強いるだけでは絶対に成功しない問題だと思います。

工藤:4日後の選挙を前に、多くの人は悩んでいると思います。つまり、有権者の中には、何となく感じ始めている人がいるのではないでしょうか。昔と同じように「税金は嫌だ」というよりも、「この国が持続可能なのか」という状況をきちんと見なければいけない局面です。有権者は今、何を考えればいけないのか、最後に一言ずつ頂きたい。

投票率の低下は民主主義の後退

土居:少し逆説的ですが、「誰を勝たせるか」ということで票を入れるというのが投票行動だと思うのですが、「誰を負けさせるか」ということも、一つの考え方だと思います。与党を負けさせたいというのであれば、野党に票を入れればいいし、「野党は抜き打ち解散で候補者を立てられない、解散権は首相にあるのだけれど、なぜ臥薪嘗胆でちゃんと候補者を準備してこなかったのか。こんな体たらくの野党ではダメじゃないか」という意味での与党への投票というのもある。もちろん、どういう思いが一票になるのかというのは人によって違うので、集計した結果をどう評価するかという悩ましい問題があるのですが、一有権者としての思いというのは、「誰を勝たせるか」という判断で入れるもよし、「誰を負けさせるか」という判断で入れるもよし、ということなのかなという感じがします。

西沢:与党が勝とうが野党が勝とうが、より重要なのは投票率だと思います。有権者が各政党からきちんと情報を得て、判断して、投票所に足を運ぶという数字が前回よりもさらに落ちるとなれば、それは民主主義の後退といえるのであって、選挙を決断した人の責任は極めて重いと思います。

ですから、投票率にも注目したいし、今回、安倍さんたちが言っている来年夏の計画策定も含めて約束をきちんと覚えておいて、それまで我々がウォッチして、注文していかないといけないと思います。

鈴木:候補者が言っていることを見極めるということについて、私たちは有権者としてこれまでより進歩しないといけないと思います。今、西沢さんがおっしゃった「投票しない」というのは、結果について消極的に支持したということになるので、候補者の主張を見極めて、きちんと投票行動を起こすということだと思います。

工藤:これまで八夜連続で、評価の会議を公開してきました。基本的に、今、日本はかなり重大な局面を迎えている。ということは、今回の選挙は、極めて大事な選挙で、まさに将来に向けての選択を問われるものにならなければいけない。それが、そういうかたちに、なかなかなり切れないという状況は非常に残念です。

ただ、皆さんが口を揃えていたように、これからは絶えず政治をウォッチしていかないとダメだと思います。次の選挙までゆっくりしているわけにはいかない。それくらい、政治の責任は重くなるし、私たちも、本当に誠実に今の課題に取り組む人を選ばなければいけないとなると、私たちの目も問われてきます。そこへの一歩で、思ったこと、考えたことを実現するために投票所に足を運ばなければいけないと思いました。有権者の皆さんは、この八夜の議論をぜひ参考にしていただければと思います。皆さん、ありがとうございました。

⇒シリーズ:安倍政権2年の通信簿と選挙の争点8「消費税増税の延期で財政再建の道筋は描けるか」(1/2)

言論NPO代表

1958年生まれ。横浜市立大学大学院経済学修士課程卒。東洋経済新報社で『論争東洋経済』編集長等を歴任。2001年11月、特定非営利活動法人言論NPOを立ち上げ、代表に就任。その後、選挙時のマニフェスト評価や政権の実績評価、東アジアでの民間外交に取り組む他、世界の有識者層と連携した国際秩序の未来や民主主義の修復等、日本や世界が直面する課題に挑む議論を行っている。2012年3月には米国の外交問題評議会(CFR)が設立した世界23カ国のシンクタンク会議「カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)」に日本から唯一選ばれた。

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