北海道の痛ましい事故で露呈した事実上の無保険車の存在

幸せな家族4人が亡くなるという北海道で起きた痛ましい事故により、飲酒運転の他、大きな社会問題が提起された。「依然として任意保険の未加入車も多い」と言うことである。任意保険という制度、発足した当時は自賠責保険に入っていれば問題ないと思われていたこともあり「事故を起こした時の安心」という位置づけだった。お金に余裕ある人のみ契約する保険だったのだ。

少なくとも私が学生時代(1980年前後)は、入っていない人が珍しくなかったように思う。医療費や慰謝料も今のように高くなかったため、対人事故であれば自賠責保険で十分カバー出来た。また、クルマを持っているのは企業かお金持ち。対物事故の時に支払う修理代も、今よりずっとリーズナブル。クルマを買えるような企業や個人なら少し無理すれば払える。

今や状況が全く違う。人身事故であれば自賠責保険使い何とかカバー出来るけれど、対物や搭乗者(自分のクルマに乗っている人の保証)の賠償は以前と違い高額になっている。一方、クルマを買うことに関し、以前より大幅にハードルが低くなり、中古車なら20万円もあれば購入可能。お金に余裕のない人でも乗れるよになった。

そういった人からすれば、任意保険は高すぎるのだろう。割高の保険料を必要とする若い人が新規加入しようとすれば無事故割引無しどころか割り増しになり、どんなに安くても5万円以上掛かってしまう。そして文字通り「任意な保険」のため「だったら加入しなくていいか」ということになりがち。実際、今回事故を起こした犯人も任意保険に入っていなかったという。

困ったことに任意保険に入っていない人は、社会的な責任感を持っていない。言い方を変えると、社会的な責任感のある人なら、多少のコストが掛かっても任意保険に入っていることだろう。そんなことから、任意保険に入っていないクルマにブツけられたような事故だと、基本的にモメる。特に追突事故など相手側に100%責任ある時は、コチラ側の保険会社も対物賠償の支払い義務ないため、動いてくれない。

今の日本の社会システムでは「払えない」と言ってきた相手から賠償金を取るのは非常に難しい。数十万円単位の金額だと訴訟を起こすのも効率悪いし、自賠責保険の金額を超えるような後遺症が残る怪我をさせられても、上限金額以上出ない。いろんな意味で被害者が泣き寝入りしなければならない状況になってしまっている。こうなれば任意保険の位置づけを変えるべきだと思う。

もはや自賠責保険と任意保険を分けることは無理になってきた。そもそも事故を起こしても賠償出来ないクルマが道路を走っていると言うこと自体、おかしい。このあたりで自賠責保険の制度を大幅に見直し、任意保険と同じような賠償範囲まで広げるべきだろう。こう書くと「出費が大きくなってしまう」といった意見が出てくるかもしれない。

その場合、車両の大きさや動力性能で保険の価格を決めればいい。加害性の低い軽自動車は安価に。今回事故を起こしたような大きくて重い車両なら高価に。その上で、自動ブレーキなど事故防止性能も加味すれば、大半の人が現在支払っている保険金額より安くなると思う。本当の意味での任意保険は、車両保険だけでいい。