高齢者の免許継続制度改定により大混乱が起きる?

昨年の交通事故死者の54,8%が65歳以上の高齢者である。数字は亡くなった方なので、加害者になったケースを含めればさらに高齢者関連の事故も多くなると思う。そんなことから2017年3月12日に道交法改定を行い、高齢者の認知症チェックを強化することになった。

ここまでは御存知の方も多いだろう。しかし改訂内容をジックリ検討した医療関係者から「このままだと大混乱する!」という声が出始めた。調べてみたら他人事ではないようだ。75歳以上の家族や親戚の居る方はぜひとも知っておいて頂きたいと思う。

以下詳しく。3月12日以前でも、75歳以上になって免許更新する方は、30分ほど掛かる『認知機能検査』を受けなければならない。判定結果に関わらず「運転適性検査」や「実施運転」を含む2時間30分の講習を受ければ免許更新出来る。

・高齢者の免許更新制度改定の内容

講習で危険だと思われた場合、遠回しに免許の更新を諭されることになる。当然ながら反発する方も多く、実効性という点で課題を抱えていた。そこで3月12日から「認知機能検査で疑い有」と判定されたなら、医師が作成した診断書を義務づける。

診断書なしだと更新出来なくなるワケ。現状で『認知機能検査』の不合格者推定者数は? 驚くことに5万人もいるという。対象になった方は診断書を取りに行くことになるのだけれど、日本臨床内科医学会の会報に「簡単なことではない」という記事が出た。

記事によれば「認知症判定は明確な基準がなく、しかも都道府県によって異なっている。どの程度の回数や期間で判定すれば良いかという点も不明瞭。また、認知症だと判定しないで免許を継続させ、事故を起こした時に医師が訴えられた際の責任の所在も不明」だという。

もっと詳しく書くと、一般的に認知症の判断は精神科か神経内科が行う。3月12日から対象者の数が急増するため専門医以外(例えば主治医)も行わなければならない。専門医であっても加害者になる可能性のある「運転」の保証をすることに難しさを感じるそうな。

流れとしては公安員会がダメ出しをした高齢者を「問題なし」としたなら、事故になった時の責任を問われるため、少しでも「怪しい」となったら免許の継続を不可とする流れになっていくと思う。その場合、公共の交通機関の無い地域だと移動の足を奪うことを意味する。

長い付き合いのある地元に密着したクリニックの主治医にとっては非常に難しい判断になる。そんなことから医師側としては「もう少し判定基準をしっかりして欲しい」という意見が強く出ているのだった。そもそも認知症の方は免許を持っていないことも認知出来ないで運転する。

免許継続を忘れている人すら少なくない。事故撲滅を目標とする自動車業界からすれば、免許制度だけで無く、クルマ側で対策(エンジン始動時に日付けを入力させるなど)することも重要だと考えている。認知症対策には国交省が主導権を握るべきだと思う。