今後自動車メーカーはトランプのいいなりになるのか?

デトロイトショーのプレスブリーフィングでトヨタ自動車はアメリカに対し今後5年間に100億ドル(1兆1500億円)の投資を行うと発表した。「トランプ次期大統領にツイッターで揺さぶりを掛けられ負けた」という声も出ている。今後も日本の自動車メーカーはトランプ発言に振り回されることになるのだろうか?

まずトヨタの決定だけれど、常識的に考えても他に選択の余地は無かった。一昔前まで「自動車産業が栄えている国で生産し消費国に輸出される」という形態だった自動車産業ながら、今や「その国で売るクルマはその国で作る」方向になっている。大きな雇用を生むためだ。当然のことながら国家が自動車産業を管理するようになっている。

アメリカ市場に於いても「日本や欧州で生産したクルマをアメリカに輸出する」というビジネススタイルは1990年代に終わり、現地生産が基本。ただアメリカの場合、メキシコとカナダとの間に『NAFTA』と言う関税無しの自由貿易協定を結んでいる。したがってアメリカで売るクルマは北米大陸で作れば何の問題も無かった。

アメリカの方針が変わり「やはりアメリカで売るクルマはアメリカで作って欲しい」と言われたなら、その意思は尊重しなければならない。政府間で決めたことに対し企業は関与出来ない。今後、トヨタ以外の自動車メーカーも、NAFTAに動きあればアメリカに投資しなければならないだろう。

今後問題になるのは「トランプの言うことなら全部聞かなければならないのか」という点である。これに対する答えも簡単だ。「正論なら聞かざるをえない」。とは言え日本の自動車メーカーは長い間、アメリカと協議を続けてきた。アメリカでアメリカに売るためのクルマを作っている限り何の問題も無い。

メキシコ工場についてのみ、今までも「アメリカ目線の正論」で考えたらおかしいとされてきた。マツダのようにアメリカ生産から撤退し、メキシコに工場を作ることは危険だと言われている(マツダは早急に対応策を練るべきだと思う)。だからこそトヨタはすぐ理解し、大サービスの対応した。

トランプ次期大統領が理にかなわないことを言い始めたらどうすべきか? その時はアメリカの社会でコンセンサスを作ることだろう。すでにトランプ次期大統領の足元を見ると厳しい。女優のメリル・ストリーブさんの「障害者を侮辱することは悲しい」という演説が「アメリカの良心」を激しく揺さぶっている。

強気のトランプさんながら「アメリカの良心」(道徳や価値観を含む)に逆らえば手強いしっぺ返しが待っている。日本の自動車メーカーは正論で対応している限り、無理難題を突きつけられたら「アメリカ」というトランプ次期大統領より強くて大きい味方がバックアップしてくれるだろう。