Yahoo!ニュース

Google Glassの使いやすさを大きく向上させるかもしれない特許について

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
US8750541

Google Glassのようなヘッドマウント型ウェアラブルデバイスを真の意味でユーザー・フレンドリーにするにはどうしたらよいのでしょうか?Googleが最近取得した米国特許8750541”Parametric array for a head-mountable device”がひとつのヒントになるかもしれません。

この特許のポイントはメガネ型デバイスのツル部分に超音波の発生装置を設け、耳の穴に向けて投射することにあります。超音波を可聴域の音声で振幅変調すれば音を聞くことができます。そして、超音波は直進性が強いので他人に音が聞こえることはありません。いわば、絶対に音漏れしないオープンエア型ヘッドホンのようなものです。

US8750541
US8750541

たとえば、ウォーキングナビのユースケースを考えてみると現行Google Glassのちっこいディスプレイでやるよりも、声で案内(たとえば「xx銀行の手前を右に曲がってください」等々)してもらった方が全然わかりやすい気がします。従来型ヘッドホンを使っても、スマホを耳に当てても同じようなことはできますが、ユーザー体験としては全然違うと思います。特に既にメガネをかけている人向けにツルの部分に取り付けられるデバイスにすれば、付ける人および周囲の人の抵抗感も小さくてすむでしょう。

とは言え、超音波をずっと耳に投射し続けていて健康問題はないのか、どっちにしろ高い音が聞こえなくなっている年長者は別にしても若者にとって超音波は不快ではないか、電池は大丈夫なのか(あらゆるウェアラブル機器に共通の課題です)、犬猫などの動物を驚かせることにならないのか等々、実際の製品化を行なうには課題山積みではあるでしょう。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

栗原潔のIT特許分析レポート

税込880円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

日米の情報通信技術関連の要注目特許を原則毎週1件ピックアップし、エンジニア、IT業界アナリストの経験を持つ弁理士が解説します。知財専門家だけでなく一般技術者の方にとってもわかりやすい解説を心がけます。特に、訴訟に関連した特許やGAFA等の米国ビッグプレイヤーによる特許を中心に取り上げていく予定です。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

栗原潔の最近の記事