Yahoo!ニュース

なぜか米国で進行中のSTAP特許出願の審査手続について

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

STAP細胞の国際出願(PCT/US2013/037996 ”GENERATING PLURIPOTENT CELLS DE NOVO”)の各国国内移行ですが、以前書いたように、米国には14/397,080という番号で国内移行されていたことがわかっていました(国際出願(PCT出願)、国内移行等の用語については過去記事「猫でもわかる国際出願制度」を参照してください)。その後、なぜか、この番号が米国特許庁の審査状況データベースPAIRから消えていたのですが、さっき見たら復活してました。

国際公開された出願でも米国内で公開されるまではPAIRには載らない(代理人しか見られない)のが本来のプロセスのようなので、何らかのミスでフライング公開されてしまったタイミングで私が発見してしまったということかもしれません。

いずれにせよ注目すべきは、2015年1月8日付けで新たなクレームの補正がファイルされている点です。米国国内移行時には「細胞にストレスを与えて多能性細胞を作る方法」というめちゃくちゃ広いクレームを(とりあえずの仮クレームとして)ひとつだけ残していたのですが、今回は、真っ当に見えるクレーム構成に戻しています。米国での権利取得を目指しているということなのでしょうか?STAP論文と特許明細書は一応別物であるとは言え、共通の記載や図版も多いのに大丈夫なんでしょうか?

画像

特許出願の取り下げには共同出願者全員の同意が必要です。この特許出願は、ブリガムウィメンズ病院(ハーバード大)と理研の共同出願(東京女子医大は共同出願から降りています)なので、理研としては取り下げたくてもハーバード大側が固執しているということなのかもしれません。単に特許事務所との連絡が遅れているだけなのかもしれませんが。

なお、他国への国内移行ですが、日本への移行はまだ確認されていません(そもそも移行していないのか、移行後に取下げたのか、翻訳文を提出しないことで放棄扱いになったのか、理研に聞かないとわかりません。)以前書いたオーストラリアへの移行はそのまま審査請求待ち状態になっています。それ以外の国への移行については私が調べた範囲内では確認されていません。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

栗原潔のIT特許分析レポート

税込880円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

日米の情報通信技術関連の要注目特許を原則毎週1件ピックアップし、エンジニア、IT業界アナリストの経験を持つ弁理士が解説します。知財専門家だけでなく一般技術者の方にとってもわかりやすい解説を心がけます。特に、訴訟に関連した特許やGAFA等の米国ビッグプレイヤーによる特許を中心に取り上げていく予定です。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

栗原潔の最近の記事