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Amazonなら3Dプリンタをこう使うという特許出願について

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
US2015/0050214

商品をドローンで配達する(これは当局規制の関係で当面難しそうですが)、顧客が注文する前に投機的に発送処理を始めてしまうという発明の特許出願(参考ブログ記事)等々のアイデアからわかるように商品を顧客に迅速に届けるという点でパラノイア的企業であるAmazonですが、最近公開された3Dプリンタ関連の特許出願でも、この方向性が明らかです。

この特許の公開番号は、US2015/0050214(出願が公開されただけで権利化されたわけではありません)、発明の名称は"PROVIDING SERVICES RELATED TO ITEM DELIVERY VIA 3D MANUFACTURING ON DEMAND"です。この名称を見ただけで、「こう来たか!」と膝を打つ人もいるかもしれません。

US2015/0050214
US2015/0050214

発明の基本的アイデアは、ユーザーが注文した商品を3Dプリンタで作成して、配送するというものです。審査中なので最終的にどのような形で権利化されるか(あるいは、拒絶されるか)わかりませんが、単にオンデマンドで製造するというだけでは新規性・進歩性の点で厳しいでしょう。開示されている技術の中で最も興味深いのは、配送トラックに3Dプリンタを搭載するというアイデアです。これによって商品を作りながら顧客に配送することが可能になります。仮に、このアイデアも何か公知技術があって特許化できないとしても(抵触する先登録特許がない限り)Amazonはビジネスとして実現してしまうんじゃないかと勝手に想像しています。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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