ラジコを飲食店のBGMで使った場合の権利処理はどうなるのか?

飲食店におけるBGMの権利処理シリーズの3回目(たぶん最後)です。1回目で書いていなかった論点としてラジコ(radiko.jp)をBGMとして使用するケースがあります。実は、この点に関しては、JASRACに問い合わせて回答を待っていたので書くのが遅くなりました。

ラジコはインターネットラジオなので著作権法上は「自動公衆送信」扱いです(「放送」でも「有線放送」でもありません)。ただし、通常のラジオ放送と同時に同じ番組が流されますので「放送される著作物が自動公衆送信される場合」にあたり、著作権法38条3項のカッコ書きが効いてきます(「放送された」ではなく「放送される」である点に注意、これにより放送とネットで同時に配信する場合のみがカッコ書きの対象になります)。

38条3項 放送され、又は有線放送される著作物(放送される著作物が自動公衆送信される場合の当該著作物を含む。)は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を用いてする場合も、同様とする。

カッコ書きが効くことにより、ラジコは自動公衆送信ではあるのですが、38条3項については放送(有線放送)と同じ扱いになります。ここで、「通常の家庭用受信装置」の解釈が気になりますが、JASRACの運用では、通常のパソコンに家庭用クラスのスピーカーを付けている状態であれば「通常の家庭用受信装置」にあたる(ゆえに、JASRACとのBGM契約は不要)としているそうです。

また、ラジコにはラジオ放送の放送対象地域に向けてネットで同時再配信を行なう無料のサイマル版に加えて、放送対象地域外にもネットで同時再配信を行なうプレミアム版(エリアフリー版)もあります(有料です(月額350円))。これが、38条3項のカッコ書きにあたるかどうか気になっていたのですが、JASRACの運用ではあたる(ゆえに、JASRACとのBGM契約は不要)としているそうです。まあ、条文を素直に読めばそうなるのですが、立法者は難視聴地域対策のための地域限定同時再配信だけを想定しているのかなという気がしたので念のため確認してみました。

お店でラジオを流したいがラジオ受信機がない(ネットとパソコンならある)という場合、ラジオの電波がきれいに入らない場合、あるいは、地域外のラジオ番組を流したいというような場合(たとえば、沖縄料理店で沖縄のローカル局を流す等々)には便利かもしれません。

【追記】JASRAC側の方はクリアーになったのですが、ラジコ側のユーザー規約の問題がありました。規約には「ユーザーは、本サービスおよびこれに係るコンテンツを、「ユーザー本人の」個人的な視聴を超えて利用する事は出来ません。」と書いてあります。サイマル版の場合は何もしなくてもブラウザで聴けてしまうのでユーザー規約に拘束されることはないと思うのですが、プレミアム版は登録が必要なのでBGM使用はJASRAC側ではOKでもラジコ側の規約違反となる可能性があります(現在確認中です)。

【追記^2】ラジコからの返事は「当社から特に可否のお返事をさしあげることはできません。お客様のご判断にておこなっていただけますよう、お願いいたします」でした。著作権侵害になる態様でなければ黙認ということなんでしょうか?家庭用スピーカーを使う態様であれば、少なくともJASRAC的には許諾不要ということは確認しましたので問題ないとは思いますが、ラジコのBGM使用は一応自己責任でということになるかと思います。