「パズドラ」のチートツール販売で警察に逮捕されるのはなぜなのか?
「「+297」「最強」…「パズドラ」チートツール販売容疑で男を逮捕 神奈川県警」というニュースがありました。(スマホゲームのパズル&ドラゴンにおいて)「自分の所持しているモンスターのステータスを任意の値に変更し、難易度の高いダンジョンも簡単にクリアできるように、ゲームデータを不正に解読、改竄(かいざん)できるツール」をオークションで販売していたそうです。
本件に関してパズドラ開発元のガンホーのWebサイトにリリースが出ていますが、「"著作権法違反"容疑」としか書いていないので詳細がわかりません。
しかし、これは著作権法の判例集にも載っているような有名な事件である「ときめきメモリアルメモリーカード事件」(Wikipediaエントリー)と同様のケースだと思います。パラメーター操作で恋愛ゲームのストーリーを改変するメモリーカードを販売していた業者をゲーム製造元のコナミが訴えた事件です。この裁判は、結局、チートツールの販売は著作者(この場合はコナミ)の著作者人格権の同一性保持権の侵害に当たる(映画の著作物を著作者の意に反して改変した)という結論になりました。「法人の人格権」とは何なのか、プレーヤーではなくツールの提供者が侵害したことになるのか、そもそもゲームは映画の著作物なのか、等々の論点はありますが最高裁で上告棄却まで行ってますので、ほぼ確定した考え方と言ってよいでしょう。
民事の世界で留まっていれば、アカウント停止や最悪でも損害賠償請求ですむのですが、(故意の)著作権侵害ということになりますと、刑事罰対象になり警察権力が介入して逮捕や家宅捜索(そして、起訴されれば最悪、懲役刑)になり得るので、決して軽く考えないことが重要です。今回、ガンホー側から容疑者に事前の警告があったかどうかは不明ですが、もし事前の警告があったのにそれを無視していたとしたら全く賢明とは言えないでしょう。