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ポケモンGoを開発したナイアンティック社の特許について

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
US9226106

ポケモンGOが既に200億円を越える売上げを上げたそうです。まだまだマネタイズの手段はいくらでもありそうなので期待は膨らみます。とにかく、現実世界での人の流れを作り出せるゲームなので可能性は無限と言えるでしょう。日本の知財(キャラクター)を活用したイノベーションとも言えますが、テクノロジー的には完全に米国企業主導という点はちょっと複雑な心境です。

ポケモンGoの開発企業である米ナイアンティック社の特許について調べてみました。現時点で同社が権利者になっている特許は1件しかありません。US9226106"Systems and methods for filtering communication within a location-based game"(ロケーション・ベース・ゲーム内のコミュニケーションをフィルターするシステムと方法)です。元々の権利者はグーグルですが、ナイアンティック社のスピンアウトに伴い、特許権も譲渡されたようです。

特許の図面を見ると、ポケモンGoやイングレスなどの実際の地図情報を使用したゲーム関連の発明であることがわかりますが、ゲームのアイデア全体ではなく、そのごく一部の機能を特許化しています。クレームが結構長いのでかいつまんで訳すと、「実際の地形に基づいた位置ベースゲームでプレイヤー間のメッセージを、各プレイヤーの状況に応じてフィルターする方法」ということになります。ここで、「プレイヤーの状況」とは位置、レベル、ソーシャル・グラフ、フォロー関係、ゲーム上のモード、等々です。たとえば、攻撃モードの時のみに他のプレイヤーから協力要請のメッセージを受ける等の例が挙げられています。

これは、ポケモンGoではなくイングレスのCOMMというチャット機能に近い特許ですね。ポケモンGoについて言えば、大勢でプレイしているわりには他の人のことをほとんど気にしなくてよいというプレイヤー間の距離感がその魅力のひとつだと思うので、チャット機能が入ることはないのではと思います(まあわかりませんが)。

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なお、特許という観点から言うと、このUS9226106の発明者(ナイアンティック社員です)がグーグル時代に出願して、まだグーグルに権利が残っている特許(おそらくはナイアンティックにライセンスされているのでしょう)の方が、基本特許に近く、強力なものがありそうなので、また後日、ご紹介していこうと思います。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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