トヨタの"アルミテープチューニング"の特許出願について

PCT/JP2014/072682

「トヨタの“オカルト”チューニング」というタイトルの記事を読みました。クルマの車体にアルミ製のテープを貼ることで空力を改善し、走行性能を向上するというアイデアです。タイトルのカッコ付き"オカルト"が表わしているように、ちょっと眉唾的に聞こえます。

上記記事によるとこのアイデアは特許出願済であるようです。いろいろ調べると国際出願PCT/JP2014/072682("車両およびその製造方法")がそれにあたるらしいことがわかりました。少なくとも日本(特願2015-544845)と欧州特許庁(EPO)と韓国には国内移行されています。米国への移行が確認できませんが単にPatentScopeの更新が遅れているだけかもしれません。

上記記事では「特許を取得した」と書かれてますがウェブ上では確認できません(J-PlatPatでまだ審査経過が見られる状態になっていません)。日本への国内移行日は2016年4月11日なので査定が出るにはちょっと早い気がします。しかし、国際出願段階での特許性に関する見解書では全クレームに特許性ありとの日本国特許庁の見解が出ているため、仮にまだ登録されていないとしても遅かれ早かれ登録されるのではないかと思います。

クレーム1の内容は以下のようになっています。

路面に対して絶縁状態に保持されている車体が、走行することを含む外部要因による静電気で正に帯電する車両において、

走行時に前記車体の周囲に流れる正に帯電した空気流が、前記帯電した車体の表面に沿った流れから前記表面から離れた流れに変化し始める剥離形状の箇所のうちの少なくとも何れか一つの特定部位の正の電位を、該正の電位に応じて負の空気イオンを生じさせる自己放電により中和除電して低下させる自己放電式除電器を備えていることを特徴とする車両。

わかりやすい説明は上記のITmediaの記事に書いてあるのでそちらを参照していただければよいと思いますが、要は飛行機の放電索(スタティック・ディスチャージャー)と類似の仕組みです。とがった形状の金属を貼り付けることで帯電した静電気を放電するということです。

下図に示すように、帯電があるかないかで空気の流速に違いが生じることが実験結果で示されています。この効果によりクルマの空力特性が向上するという理屈です。まあ、トヨタが特許出願するのですから当然科学的根拠は実証されてるという前提と考えてよいでしょう。

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ただ、自分は自動車は専門家ではないですが、静電気を除去できる効果があるとしても、オーディオのノイズが減るとか、冬場にドアを開けるときの静電気ショックが減るとかならまだわかりますが、運転性能に影響があるくらいの違いは出るようなものなのでしょうか?オーディオ関連の"オカルト"系グッズでもそうですが、「ブラインドフォールドテストをしましょうか」と言い出せる評論家の方はいらっしゃらないのでしょうかね。

【追記】

コメントが入っていますので関連情報を追記します。仮にこの出願が登録されたとしても、特許権は「業として」の実施に及ぶものなので、個人が自分の車にテープを貼ってチューニングすることは自由に行なえます。一方、他の自動車メーカーがこのチューニングを施したクルマを製造販売すると特許権の侵害となります。アフターパーツとしてチューニング用テープを販売する行為はどうかというと、この特許出願では車両と車両の生産方法しかクレームされていませんので特許権の直接侵害にはなり得ませんが、条件によっては間接侵害になり得ます。