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「えん罪」とは何か、という定義に対する意識のズレが生む諸問題

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

 去る7月18日、京都商工会議所で開催された69期司法修習生のシンポジウム「7月集会」にゲストスピーカーとして登壇しました。

 テーマは「あるべき刑事司法とはなにか」というもので、ほかのゲストスピーカーは、東電OL殺人事件や名張ぶどう酒事件など著名事件の弁護人を数多く務め、現在、司法研修所の刑事弁護教官であるとともに、東電福島第一原発事件で検察官役の指定弁護士をも務める神山啓史弁護士と、今話題のえん罪救済センターの運営に携わる甲南大学・笹倉香奈教授でした。

 内容は、えん罪事件や改正刑事訴訟法に関する司法修習生からの報告をはさみつつ、神山弁護士、笹倉教授、僕の順に講演(各25分)を行い、その後、司法修習生の司会進行により、この3人でパネルディスカッション(80分)を行うというものでした。

 神山弁護士からは、えん罪はなぜ起こるのか、えん罪をなくすためにはどうすればよいのかといった問題などが語られ、笹倉教授からは、アメリカとの比較を交えつつ、えん罪救済センターの取組みや改正刑事訴訟法における司法取引制度の問題などが語られました。

 他方、僕の講演内容やパネルディスカッションでの発言は、おおむね以下のレジュメや手控えのとおりです。ただし、その場の流れや時間の関係、諸般の事情などから、現場で臨機応変にカットした部分が原稿のほぼ半分ほどに上ります。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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