Yahoo!ニュース

ニートは社会と会社に対する黄信号

前屋毅フリージャーナリスト

ニートや引きこもりを身近な例として聞くことが多くなった。「うちの息子(あるいは娘)が引きこもりで」とか「学校にも行かないし働こうともしない」といった話を聞かされることが珍しくなくなってきている。

ニートや引きこもりと聞くと、「最近の若いやつは・・・」という反応を返してくる年配者は少なくない。若者と呼ばれる層のなかにも、「甘えてる」と切って捨てる人たちがいる。「負け組」とみなし、そこにはいっていない自分に安心したり、ちょっとばかりの優越感をもったりしているのかもしれない。

しかし、ニートや引きこもりの存在を、自らにも関係する問題としてとらえてみるべきときにきている。彼らを「社会」に引き戻すことも重要だが、ニートや引きこもりを産んでしまう「社会」について根本的に考えなおす必要があるのではないだろうか。

内閣府が毎年発表している「子ども・若者白書」によれば、15~34歳で仕事も通学も求職もしていないニートの数は2012年に63万人、2013年で60万人もいるという。2013年で15~35歳全体の2.2%と、割合からいえば多くない。しかも、前年に比べれば3万人も減っている。

かといって、「個別の問題だから」とすませてしまうわけにはいかない。60万人もの若者が「社会」に背を向けている現実があるのだ。

さらに、現実に背を向けたがっている、いわば「ニート予備軍」はかなりの数にのぼるのではないかと想像できる。入社から3年以内に辞めてしまう若者が増えているのも、「社会」に背を向ける行動とも理解できる。

なぜ、若者は「社会」に背を向けたがるのか。一言でいうならば、社会や会社がおもしろくないし、夢をもてないからだ。

仕事がおもしろいわけがないだろう、という反論がすぐに飛んでくるかもしれない。しかし、なぜ、おもしろくないことを続けなければならないのだろうか。

おもしろくないより、おもしろいほうがいいに決まっている。社会でも会社でも、おもしろいほうがいいに決まっているのだ。そうなっていないことを、真面目に考えるべきではないだろうか。

会社にしても、おもしろくないのはあたりまえとばかり仕事を社員に押しつけるより、仕事をおもしろくするほうが社員も働くし効率があがるはずだ。それは、会社のためにもなる。

ニートや引きこもりを、社会や会社のあり方が危機に瀕しているサインとして受け取る姿勢が必要とされているようにおもう。「最近の若い者は」とか「甘い」と切って捨てることしかできない「あなた」、あなたの発想が社会を会社をおもしろくないものにしている。

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

前屋毅の最近の記事