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求人倍率と失業率の矛盾からみえてくるもの

前屋毅フリージャーナリスト

厚生労働省が2月27日に発表した1月の有効求人倍率(季節調整値)は1.14倍と前月から横ばいながら、1倍を超えた。求職者1人あたりどれくらいの求人があるかというのが有効求人倍率なので、職を求めている人の全部を吸収できるだけの求人があるということである。つまり、失業者のいない状況が理論的には可能なわけだ。

ところが、同じ27日に総務省が発表した1月の完全失業率(季節調整値)は3・6と、前月から0.2ポイント上昇している。職を求めているにもかかわらず、職を得られない人が増えているということだ。

一見すると矛盾していそうだが、そこからみえてくるものがある。求人があるのに、そこに職を求めない人が多い、ということだ。

理由のひとつには、求人はあったとしても、職を求める人を満足させるだけの労働環境、労働内容、そして賃金といった条件になっていない、ということだ。企業は低賃金で、できるだけ多くの労働を雇用者に課そうとしている。

そんな条件に求職者が満足するはずもない。だから、求人はあっても応じない。職に求める求職者の条件は厳しくなっている。

「仕事があるだけマシなのだからガマンしろ」という意見もあるかもしれないが、それでは労働現場で問題が起きるばかりである。

企業が人を求めているのなら、その条件を整えなければならない。政府も完全雇用を目指すのなら、企業が条件を整えられる環境づくりを優先すべきである。有効求人倍率が高いからといって、「職はあるからいいじゃないか」というところにとどまっていてはいけない。

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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