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なぜ5月から真夏日が続出? 梅雨入りまだなく暑さ継続か

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
29日の上空の気温。濃いオレンジ色ほど高温を示す。中国大陸に高温の空気がある。

ここ数日、列島各地で30℃超えの真夏日となり、北海道でも真夏日となった所があります。

北海道をふくめ、5月から各地で30℃を超えることは、特に珍しくはありません。ただ、その暑さが毎日のように続くとなると、話は違ってきます。

暑さがいつまで続くのか、ポイントの一つは梅雨入りです。暑さの原因と今後の見通しを解説します。

二種類の暑い空気がミックス

今の暑さは、二種類の暑い空気がミックスされています。

まず、一つが、太平洋や東南アジアから来た、夏の空気です。ときどき雨を降らせに本州付近にやってきた梅雨前線が、置き土産として少しだけ残しました。梅雨前線は、こういった夏の空気の先頭部分にあたります。

5月前半と違って、やや蒸し暑くなっているのは、この南から来た空気のせいです。

そして、もう一つの暑い空気が、今回の特徴となっている中国大陸から来たものです。

中国大陸から来た高温の空気

夏の砂浜を思い浮かべてみてください。

海水よりも地面のほうが早く、熱くなります。このように、陸地は水より熱しやすい性質をもっています。

もっと広く見ると、大陸は海よりも一足早く気温が上がりやすく、この時期から真夏のような高温となることがあります。

しかも、今年の中国北部は、5月後半に雨が少なく、空気をかき混ぜる発達した低気圧の通過も少ないため、いっそう高温となり、北京など各地で40℃を超えています。

その熱い空気が日本列島に流れ込んでいます。

北海道など北で気温が上がっているのは、似た緯度から来た、この大陸の空気が大きな役割を果たしています。

このまま夏本番も暑いとは限らない

早くもこれだけ暑いのだから夏本番も暑いはず、という声も聞きますが、天候はそう単純ではありません。

気温には必ず波があり、平年より暑すぎる時期があると、バランスをとるように、いつか、どこかで低温になることがあります。

その低温になる「いつか、どこか」が、「夏本番の日本」という可能性もあるわけです。

真夏に関しては、残念ながら、まだズバリと予報できるような段階ではありません。

ただ、今の中国大陸などでの例年と違う大気の流れが、夏の天候にどう影響してくるのか、注意深く見ていく必要があります。

暑さはいつまで?カギをにぎる梅雨入り

梅雨に入って、雨がたびたび降れば、空気は冷めます。

来週(6/2~)になると、梅雨前線が一時的に本州付近に北上して雨を降らせ、高温が少し落ち着く所もありますが、まだ梅雨前線は停滞しません。梅雨入りは先になりそうで、6月中旬にずれ込む可能性も出てきています。

それまでしばらくは、この時期にしては高い気温が続いてしまいそうです。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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