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今年の台風、8月は統計史上最少 9月は多く?

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
上陸した台風11号の衛星画像(8月6日)。発生したのは7月だった。

8月は一年で台風が最も多く発生する月(平年約6個)ですが、今年は1個しか発生せず、統計史上最少となりました。この反動が、9月に出るかもしれません。

8月の台風発生、実質は0個

8月は各地に大雨を降らせた台風11号、12号の印象が強いですが、これらは7月に発生して北上したものでした。

また、8月に「発生」となっている1個(13号)も、もともとはハリケーンだったものが、日付変更線の東から西へ進んで来て、国際的に「台風」として扱われる領域に入ってきたものです。つまり、実質の「台風」発生は0個だったのです。

8月に少ない年は9月に多い傾向

8月29日の衛星画像。フィリピンの東など台風発生地帯の雲がまばら。
8月29日の衛星画像。フィリピンの東など台風発生地帯の雲がまばら。

人間が勝手に区切っている「月」という期間内に、たまたま台風が発生しなかったというだけなのですが、いずれにせよ、今年はピークシーズンに長期間、発生していないということになります。

台風の統計がある1951年以降で、8月の台風発生が3個以下だったのは7年。そのうちの6年が、9月の台風発生が平年並みか多い5~7個となっています。

台風の発生しやすい周期

台風は、海面水温が26~28℃以上の海域で発生します。ただ、海水温が高いから発生するとも限りません。

たとえば、地上に比較的近い所で風が集まり、上空で風が逃げていくような場所で、台風を構成する積乱雲は多く発生しやすくなります。

7月29日。フィリピンの東などに大量の積乱雲。9月に再び似た状況になる可能性も。
7月29日。フィリピンの東などに大量の積乱雲。9月に再び似た状況になる可能性も。

今年の7月は、台風の発生地帯である日本のはるか南の海上、フィリピンの東海上などが、このような状況となっていて、多くの台風が発生しました。

ところが、こういった積乱雲の発生しやすい環境は、数十日ほどの周期で変化があり、8月は逆に地上付近で風が集まりにくく、台風が発生しにくい状態となっていたのです。

アジア全体の大気の流れを見ると、9月になって再び、台風の発生地帯である海域が、風の集まりやすい状況になる気配があります。

何個、台風となるか、日本に近づくかまでは分かりませんが、心構えはしておきたいところです。

8月27日アップの動画解説(天気ニュース- Yahoo!天気・災害)

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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