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天気予報、見るところによって違うのはなぜ?

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

天気予報、一日に何回チェックしていますか?複数チェックしている人からは、「見るテレビ局やサイトによって予報が違って困る」という声もありますが、予報の違いはなぜ出るのでしょうか。

なぜ予報に違いが出る?

1)出どころが違う

天気予報は、気象庁からはもちろん、数十ある民間の気象会社からも出ています。テレビ局やサイトが、どこの情報を使用しているかによって予報が変わります。海外の気象会社の予報を載せているサイトもあります。

出どころによって予報が違うのは、それぞれコンピューターにさせる独自の計算式があり、結果が違ってくるためです。また、予報を最終決定する予報官・気象予報士の判断の差が出ることもあります。

2)発表のタイミングが違う

紙の新聞の天気予報が、分かりやすい例でしょうか。朝に見る時でも、それは前夜までに出された予報です。当然、テレビやサイトに出ている朝の最新予報とは、食い違いが出ます。

同様に、サイトによっては、常に最新の予報が反映されているとは限らず、それによって出どころが同じでも、予報が違って見えることがあります。

3)表現が違う

たとえば、0.5ミリの微量の雨が降るという予測が計算で出てきた場合、それを雨マークで表現する気象会社もあれば、曇りマークとして出す気象会社もあるでしょう。(こういうことがあるので、言葉による解説のフォローがない天気マークは、鵜呑みにしないほうがいい)

このように、コンピューターが弾き出した結果が同じでも、最後の表現の仕方によって、予報が変わることがあります。

違う予報とどう付き合う?

1995年以前は、広く一般に天気予報を発表できるのは気象庁だけでした。どこを見ても同じ予報だったわけです。予報が国内に一つしかないと、それが外れたら皆外れです。いまだに、そういう国もあります。

一方、予報に違いがあることで、「外れ」のリスクを減らすことができます。

各所の予報がバラバラな日は、幅を持って見ることにより、不意打ち的な大外れを回避することができます。もちろん、予報が一致している日は、その天気になる確率が高いということです。

一つの予報だけが流通するということはもうなく、複数の予報と付き合っていくしかありません。

「どの予報を信じていいか分からなくなるのがイヤ」という人は、一つしか見ないというのも手かと思いますが、「その予報が外れる=外れ決定」で、リスクも大きくなります。

複数の予報を見比べて、「外れ」のリスクを減らすのが、上手な天気予報の使い方かなと思います。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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