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夏空と猛暑なのに梅雨明けはなぜしない? 鍵をにぎる台風11号

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
(写真:アフロ)

日本列島は先週後半から夏空が広がって、広範囲で30℃を超える真夏の暑さとなっています。ただ、きょう13日時点で梅雨明けしているのは、沖縄のみです。そのほかの各地の梅雨は、なぜ明けないのでしょうか。

台風11号の影響を見極めてから

台風11号の進路予想図。
台風11号の進路予想図。

梅雨明けが発表されない原因は、台風11号です。

台風11号は16日(木)~17日(金)頃に、九州~本州のどこかを直撃するコースとなりそうです。

接近する頃には、台風は形を変えて、離れたところにまで雨雲が拡大。しかも、今回の台風は動きが比較的遅く、数日間、雨となるところも出てきます。

大雨が起こるような状況になるのが分かっているのに、急いで梅雨明けを発表しないというわけです。雨が降ることによって、高温もいったん落ち着きます。

梅雨明けの明確な基準はなし

梅雨明け発表に客観的な基準はなく、その時々で、気象庁の予報官が判断します。

そのため、気象関係者の中でも意見が分かれることが多々あります。今回も、「今週後半は梅雨前線の雨じゃないし、もう梅雨明けでも良かったのでは」「熱中症が急増する。梅雨明け発表で注意喚起するのが良い」といった声もあります。

私などは、平年にある程度近ければ、たとえば5日連続で晴れて30℃を超えれば、その時点で梅雨明け発表するといった、客観的基準を作れば良いのでは、と感じます。

いずれにせよ、皆が皆、納得する梅雨明け発表はそうそうありません。納得できない方は、「自分の梅雨明けはこの日」とすれば、それで良いのだと思います。

気象庁が発表する梅雨明け日だけが、梅雨明けではありません。

梅雨明け発表はいつ頃?

台風11号の通過後は、いったん晴天が広がります。その晴天がしばらく続くと見込めるようであれば、まず3連休あたりが、梅雨明けを発表するタイミングの一つの候補となりそうです。

ただ、次の台風や熱帯低気圧が、発生する気配もあります。それらの影響が出てくることが濃厚になれば、さらに梅雨明けは遅れることに。

今年は見解が分かれる梅雨明けになりそうな気がします。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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