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「そこに雪はあるか」→「ない」となりそうな暖冬傾向の12月に

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
12日(土)の上空約1500m気温。南から暖気。雪を降らせる寒気(水色)は北へ。

恒例のJR東日本「JR SKISKI」キャンペーン。今冬のキャッチコピーは「そこに雪はあるか。」ですが、雪不足のゲレンデが目立ち、積雪に関心が集まっています。ただ、雪不足はすぐ解消しそうにありません。

2シーズン前は大雪時にキャッチコピーが話題に

JR東日本の「JR SKISKI」キャンペーンといえば、話題となったのが、今から2シーズン前の2014年2月。

東京都心で27センチなど記録的な大雪が2週連続で降り、交通機関は大混乱。

その時のキャッチコピーは「ぜんぶ雪のせいだ。」でした。

そんな経緯もあり、今度は雪が少ないタイミングでの「そこに雪はあるか。」というキャッチコピーが、すでにネット上で一部、話題となっています。

両シーズンとも、結果的にたまたまそうなっただけですので(数か月前からの確度高い予測は難しい)、批判されるものでもないと思いますが、今年の12月はゲレンデにとって厳しい状況が続きそうです。

しばらく続く暖冬傾向

上空の偏西風が大きく蛇行し、東アジアで南へ垂れ下がった状態が続くと、日本付近に次々と寒気がやってきて、積雪も増えます。

ただ、その兆候が今はありません。上空の風の流れは、晩秋のパターンを見ているようです。

このさき12月中旬までは、シベリア方面からの寒気が南下しにくく、特に本州を中心に雪の少ない状態、また、「12月にしては寒くない」日が多くなります。

12月20日頃より後の予測はまだはっきりしませんが、寒気の南下が少なければ、雪不足がさらに長引く可能性もあります。

雪が少ないことで助かる人がいる一方、ゲレンデ関係の方などにとっては困った天候となりそうです。

暖冬傾向がずっと続くかは、まだ分からず

過去の例を見ると、12月が暖冬傾向だったのに、年末年始は急に寒くなった、1月以降は冬らしい冬だった、ということも珍しくはありません。

一つの季節の間、ずっと同じ傾向が続くことも考えにくく、どこかで流れが変わる可能性は十分にあります。

暖冬傾向から、急に寒波が襲来することも有り得ますので、日々の気象情報の確認を怠らないでいただければと思います。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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