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関東など太平洋側は8月が雷のピーク 雷はどこに落ちやすい?

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
(写真:アフロ)

太平洋側では8月が、月別の雷日数のピークというところが多くなっています。雷が近づいた際は、どこが危険で、どう行動をすれば良いのか、知っておくことが身を守ることにつながります。

夏の暑さが雷を増やす

日本海側では、雪を降らせる積乱雲からの落雷が多く、雷の日数は冬にピークを迎えます。

一方、太平洋側では、夏場に雷の日数が多くなります。地上付近が暑くなることで、上昇気流が起こりやすくなり、積乱雲が多く発生するのが一因です。

雷は「高いところ」に落ちやすい

昔は「金属をつけていると雷が落ちる」と言われ、いまだにそう思っている人もいますが、雷の落ちやすさに金属は関係ありません。

雷は周囲より高いところに、落ちる傾向があります。人工的に作り出した落雷実験を行うと、金属があるかどうかより、高いところに次々と雷は落ちます。

何もない広い場所では、人間が「高いところ」となり、雷の標的になるおそれがあります。

雷の接近時は、屋内や車の中に入り、屋内では壁などから1メートル以上離れるのが安全ですが、万が一避難できなければ、低い姿勢をとり、少しでも落雷の危険度を下げることが必要です。

「ひこにゃん」は木の下が危ないと知っている?

特に気をつけたいのが、木など高く突き出したものの近くです。

木の下に雨宿りをしていて、落雷被害に遭うという事故は、なかなかあとを絶ちません。木の近くは、「側撃雷」といって、木に落雷した雷が近くの人に飛び移ることがあります。

これは、夏休みの子供たちにも知っておいてもらいたいことですが、私は子供向けに落雷の話をする際、滋賀県彦根市のゆるキャラ「ひこにゃん」の話をします。

江戸時代、彦根藩二代藩主の井伊直孝が木の下で雨宿りしていたところ、白い猫が手招きをしているので近づくと、さきほどまで雨宿りしていた木に落雷。この猫のおかげで救われたという伝説が元となり、白い猫のひこにゃんが生まれています。

雷の接近時、木からは4メートル以上離れるということと合わせて、子供たちに覚えてもらうと良いかもしれません。

近年増えている雷日数

年によって変動はありますが、近年、特に2000年代以降、雷が観測される日数は増える傾向です。

たとえば東京だと、1916年以降の100年間の観測で、最も雷日数が多く観測されたのは2012年で、年間26日。2位が2008年の年間25日、2000年の年間22日も4位に入っています。(3位は1920年の年間23日)

いずれの年も、たまたまオリンピック年というのはさておき、夏の太平洋高気圧が盤石ではない今夏、雷がいつ起こっても良いように正しい知識で備えましょう。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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