Yahoo!ニュース

台風5号、週明けに関東の東へ 今週末から「土用波」に警戒を

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風5号の進路予想図。

4日に発生した台風5号は、発達しながら北上を続けています。海では、台風の北上よりひと足早く、今週末から高波が押し寄せます。

台風5号は、関東の東海上を北上

台風5号の進路予想図(5日進路予報)
台風5号の進路予想図(5日進路予報)

台風5号は今後も北上を続けて、週明け8日(月)には、関東のすぐ東海上を北上する見通しです。

今回の台風は、進路の予測にほぼブレがなく、予報が大きく変わることはなさそうです。

雨雲は海上が中心となりそうですが、海は荒れます。

9日(火)には、三陸沖を北上し、北海道東部に近づきます。

今週末の時点では、本州から1000km以上離れていますが、海の波は遠くまで伝わります。

夏の土用の頃、ちょうど今頃に、遠くから来る大波は「土用波」と呼ばれます。台風の観測技術がなかった昔から、漁師などに知られていました。

土用波の破壊力

7日(日)の波の予想
7日(日)の波の予想

土用波は、2000km先でも届きます。

昨年8月、北海道太平洋側の新ひだか町で、海岸の護岸が決壊したことがありました。

原因は、南に約2000キロ離れたところにあった台風16号です。

今週末の台風5号と同じような位置にあったのですが、台風周辺で発生した波が、大きな“うねり”となって、北海道まで押し寄せたのです。

うねりは、遠くから来るうちに波の山が丸まり、一見、高波には見えないこともあります。

しかし、一つの波の波長(水平距離)が長いため、海岸に大量の海水が押し寄せ、破壊力が増したり、波が急激に高くなることがあります。

海日和の時の高波が危ない

うねりの力強さで、体を持って行かれる海の事故もしばしば起こります。

今週末は、晴れて厳しい暑さとなる所も多く、海日和です。

が、それは陸上の話で、東日本の太平洋沿岸には台風からのうねりが届き始めます。空が晴れていることが油断につながります。

遊泳禁止の場所では泳がないのはもちろん、監視員がいるところ・時間に泳ぐ、お子さんを海に入れる時は目を離さない…今週末のような高波の危険があるタイミングでは、特に慎重な行動をお願いします。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

増田雅昭の最近の記事