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木曜日はまた春の嵐 2月~4月は強風被害が多発する季節

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
(ペイレスイメージズ/アフロ)

先週、関東など各地で春一番が吹いて以降、日本列島はたびたび強風に見舞われています。23日(木)にかけてはまた低気圧が通過する影響で、雨が強まったり、沿岸部を中心に強風が吹き荒れたりしそうです。

なぜ一週間に何度も強風?

日本付近を低気圧が通過するのは、ここ一週間で3回目です。22日夜~23日にかけて、沿岸部を中心に各地で南からの強風が吹き荒れたあと、北風が強まります。

低気圧の役割は、風によって大気を大きくかきまぜ、北と南の温度差を解消することです。低気圧がたびたび来るのは、日本付近で温度差が大きくなっている証拠。つまり、すぐ近くまで春の空気がきていて、季節の変わり目に差しかかっていると見ることができます。

23日(木)明け方の風の予測。沿岸部を中心に風が強まる。
23日(木)明け方の風の予測。沿岸部を中心に風が強まる。
23日(木)明け方の雨の予測。
23日(木)明け方の雨の予測。

ただし今回は、陸に残った冷たい空気が、南の海から吹いてくる南風をガードし、強風と気温上昇は海に近いところだけという可能性もあります。たとえば関東なら、東京周辺が強風が吹くか吹かないかの境目になりそうです。

強風被害は2月~4月に集中

以前、東京消防庁がおこなった調査によると、2009年までの4年間で強風による被害で救急搬送された人は、東京消防庁管内だけで646人。そのうち半分以上の338人が2月~4月に集中しています。台風シーズンより多い搬送数です。

関東など太平洋側は、寒暖差が大きく低気圧が発達しやすい、2月~4月に強風の日数が多くなります。

転倒、飛来物、指がはさまれる、個人情報

同調査によると、歩行中等にバランスを崩して転倒した被害が最も多く、強風で搬送された人の54%を占めます。大半が年配の方です。傘を差していて風に引っ張られ、転倒している事例もあります。雨が降る強風の日は、年配の方の外出は特に注意が必要と言えます。

2番目に多いのが、風による飛来物や落下物にぶつかったという被害。3番目は家や車のドア・扉に指をはさまれる被害で、小さい子供もふくめ、骨折や最悪は指の切断という事例もあります。

また、この調査にはありませんが、個人情報の書いた書類が風で飛んでいってしまい、ニュースになることもしばしばです。

強風の季節はまだまだ続きます。天気予報で「強風」の解説が出てきた日は、いつも以上に慎重な行動をお願いします。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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