主な新興国/米国経済ニュース(30日)
米ファミリー・ダラー、同業大手ダラー・ツリーに8700億円で身売りへ
“1ドルショップ”で知られる米ディスカウント小売りチェーン大手ファミリー・ダラー・ストアーズ<FDO>は28日、同業大手ダラー・ツリー<DLTR>に、1株当たり74.5ドル、総額85億ドル(約8700億円)で身売りすることで合意したことを明らかにした。
ファミリー・ダラーの買収額は先週末の同社の株価の終値に対し、23%のプレミアム(上乗せ額)となっている。ファミリー・ダラーは身売り後も企業名をそのまま残して事業を継続する。両社の合併によって、店舗数は1万3000店超となり、年間の売上高も180億ドル(約1.83兆円)に達し、米ディスカウント小売りチェーン最大手ダラー・ゼネラル<DG>の1万1000店、売上高175億ドル(約1.78兆円)を上回り、米国最大手の座に躍り出ることになる。
このニュースを受けて、ファミリー・ダラーの株価は28日、24.86%高の75.74ドルと、急騰した。他方、ダラー・ツリーは1.2%高の54.87ドルで引けている。
-----
米タイソン・フーズ、中南米部門をブラジル同業大手JBSに売却へ
米食肉加工大手タイソン・フーズ<TSN>は28日、国内市場に販売の重点を移すため、同社の海外事業部門であるラテンアメリカ・チキン・アセッツをブラジルの牛肉加工世界大手JBSに5億7500万ドル(約590億円)の現金で売却することで合意したことを明らかにした。
今回の売却で調達した資金は、同社の米食品大手ヒルシャー・ブランズ<HSH>の買収資金77億ドル(約7840億円)の一部として充当する方針。ヒルシャーの買収は9月27日までに完了する予定。ラテンアメリカ・チキン・アセッツはメキシコやブラジルにある鶏肉加工部門を傘下に置く。今後、タイソン・フーズの海外部門は中国とインドのアジア地域だけとなる。
タイソン・フーズの株価は28日、2.58%高の40.56ドルで引けた。
-----
米マイクロソフト、中国4都市で独禁当局から立ち入り調査受ける
世界ソフト最大手の米マイクロソフト<MSFT>は28日、中国の独禁当局である中国国家工商行政管理総局商標局(SAIC)から突然の立ち入り調査を受けたことを明らかにした。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)などが伝えた。
同社は特段の不正行為の容疑を受けておらず、SAICの調査理由については分かっていない。ただ、FT紙によると、これより数日前に、携帯電話向け半導体大手の米クアルコム<QCOM>が、もう一つの独禁当局である中国国家発展改革委員会(NDRC)から独占的地位を利用して同社製品のライセンス料を決めていたとの判断が示されており、マイクロソフトが独禁法に関する調査のターゲットになったと指摘している。
SAICは企業の商標登録や独占禁止法などに関する監督当局で、関係筋によると、最近、SAICの担当官が28日に、事前の連絡なしに突然、中国の4都市(北京、上海、広州、成都)にあるマイクロソフトの事務所を訪問したという。過去にも英医薬品大手グラクソスミスクラインの汚職容疑を受けて、中国政府が昨年、医薬品業界の調査に乗り出した際に、SAICは不正行為に問われていなかったスイス医薬品大手ロシュ・ホールディングや英・スウェーデン資本の製薬大手アストラゼネカ、独医薬品・化学大手バイエル、仏製薬大手サノフィなどを立ち入り調査している。
-----
国際仲裁裁判所、ロシア政府にユーコス株主訴訟で5兆円支払い命令
オランダ・ハーグにある国際仲裁裁判所は28日、ロシア政府に対し、経営破たんした石油大手ユーコスの株主に対し、500億ドル(約5.1兆円)の損害賠償金の支払いを命じた。ロシアのニュースチャンネルRT(電子版)などが伝えた。
同裁判所は判決文で、ロシア政府がユーコスの資産を処分し、ユーコスの元株主で構成する原告団のユーコスへの投資を没収したことはEU(欧州連合)のエネルギー憲章条約に違反するとの判断を示している。また、原告団が1140億ドル(約11.6兆円)の損害賠償を求めていたが、裁判所はその半額以下に減額し、2015年1月までに支払うよう命じている。
ユーコスは2003年に当時のミハイル・ホドルコフスキーCEO(最高経営責任者)が横領容疑で逮捕され、捜査期間中に資産が凍結されたため、経営が悪化した。その数か月後には、政府がユーコスに270億ドル(約2.7兆円)の追徴課税の支払いを要求したため、株価が急落し、2006年7月に破産法の適用を申請し破たんした。その直後に、ユーコスの株主がハーグ国際仲裁裁判所に損害賠償訴訟を起こしている。ユーコスの資産はロシア国営石油・天然ガス開発大手ロスネフチに吸収されている。
一方、アントン・シルアノフ財務相は、ロシアはエネルギー憲章条約を批准しておらず、また、今回の裁判はハーグ国際仲裁裁判所の管轄外にあるほか、2011年9月の欧州人権裁判所(ECHR)がロシア政府のユーコスへの対応は合法的と判断したことと矛盾するとして、判決の無効性を強調している。
-----
インドネシア医薬品大手カルベ、2014年通期売上高を下方修正
インドネシア最大の医薬品メーカーのカルベ・ファルマは先週末、2014年通期の業績見通しについて、売上高の伸び率を従来予想の前年比14-16%増の18兆2400億-18兆5600億ルピア(約1600億-1630億円)から同11-13%増の17兆7600億-18兆0800億ルピア(約1560億-1590億円)へ下方修正した。ジャカルタ・ポスト(電子版)が26日に伝えた。
下方修正したのは2014年1-6月期の売上高が同13%増の8兆3800億ルピア(約740億円)と、前年同期の同18.8%増から伸びが大幅に後退したため。また、利益面では純利益は増7.7%増の9929億1000万ルピア(約90億円)となり、前年同期の同14.2%増から伸びが減速している。
-----
ベトナム国営ベジタブル・オイル、IPOで40億円の資金調達に成功
ベトナム国営の調理用オイル大手ベジタブル・オイル・インダストリーは新規株式公開(IPO)で、3790万株を売り出し、5000億ドン(約40億円)の資金調達に成功した。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)などが28日に伝えた。
今回のIPOで、同社の資本金額は1兆2180億ドン(約110億円)となる。このうち、政府の保有比率は36%となる。同社はまた、発行済み株式の32%に相当する3900万株を大手製菓キンド食品とVPバンク証券の戦略パートナー2社に売却する計画。(了)