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主な新興国/米国経済ニュース(30日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

フェイスブック、10-12月期業績も予想上回るも支出急増見通しで株価急落

世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービスである米フェイスブック<FB>が28日に発表した2014年10-12月期(第4四半期)決算は、携帯電話向け広告収入が好調となり、純利益が前年比34%増の7億0100万ドル(約820億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同25%増の25セントと、大幅増益となった。また、調整後の1株当たり利益は54セントとなり、アナリスト予想の48セントを上回った。

一方、売上高は同49%増の38億5000万ドル(約4530億円)となり、アナリスト予想の37億8000万ドル(約4450億円)を上回った。特に、広告収入は同53%増の35億9000万ドル(約4220億円)となった。広告収入のうち、携帯電話向け広告収入が占める比率も前年前期の53%、また、前期(4-6月)の66%から当期は69%へと、拡大した。この背景には、12月末時点のモバイルの1カ月当たり利用者数(MAU)が全世界で前年比26%増の11億9000万人、1日当たり利用客数(DAU)も同34%増の7億4500万人に急増したことがある。

しかし、デイビッド・ウェーナーCFO(最高財務責任者)がアナリストとの電話会談で、2015年の売上高の見通しについて、2014年の為替レートを使った場合、前年比5%減となるとし、また、データセンターへの投資や人件費などで全体の支出が拡大するとした。今年の設備投資額についても27億-32億ドル(約3200億‐3800億円)と、今年を大幅に上回る見通しを示した。これを受けて、同社の株価は28日、0.61%高の76.24ドルで引けたあとの時間外取引で、米東部時間午後7時59分時点で1.82%安の74.85ドルと、反落している。

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マクドナルド、新CEOにスターブルック氏の昇格を決定―株価急騰

米ファストフード大手マクドナルド<MCD>は28日、同社の取締役会でドン・トンプソン社長兼CEO(最高経営責任者)が3月1日付で退任し、その後任として、スティーブ・イースターブルックCBO(最高ブランド責任者)が就任することを決めたことを明らかにした。また、同社はピート・ベンセンCFO(最高財務責任者)を新設のCAO(最高総務責任者)とし、ケビン・オーザン経理部長を新CFOに起用することも決めた。

同社は経済環境の悪化や消費者の嗜好の変化、さらにはメニュー戦略の失敗などが重なって、全世界の来店客数が前年比3.6%減(米国では同4.1%減)となり、2014年10-12月期(第4四半期)の純利益は前年比21%減の11億ドル(約1300億円)、売上高も同7.3%減の65億7000万ドル(約7700億円)となったことから、経営戦略の見直しに迫られている。このトップ交代人事を受けて、同社の株価は28日、0.88%安の88.78ドルで引けたあとの時間外取引で、米東部時間午後7時59分時点で3.39%高の91.79ドルと、急騰している。

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ロシア中銀、国内行の2015年業務純益は2千億-5千億円に急減と予想

ロシア中央銀行のアレクセイ・シマノフスキー第1副総裁は28日、連邦議会上院内で、記者団に対し、2015年のロシアの銀行のリテール(消費者向け小口金融)の伸びがゼロ%近くまでに鈍化するとの見通しを示した上で、銀行の業務純益は2000億‐3000億ルーブル(約2300億‐5200億円)にまで落ち込むとの見方を示した。モスクワ・タイムズ(電子版)が伝えた。

また、スプートニク(旧ノーボスチ通信)は28日付電子版で、同副総裁の発言として、銀行の業務純益は1兆ルーブル(約1.7兆円)を下回るとの見通しを示したとしている。ロシアの銀行はルーブルがドルに対し50%も下落する一方で、西側の対露制裁で海外市場での資金調達が困難となっている。

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ロシア政府、4兆円規模の経済危機対策を決定―銀行の自己資本増強など

ロシア政府は28日、原油と通貨ルーブルの急落、さらには西側による対露経済制裁による経済・金融危機を回避するため、今後3年間にわたって総額2兆3400億ルーブル(約4兆円)の緊急対策を講じる方針を明らかにした。英BBC放送(電子版)などが伝えた。

これらの緊急資金の大半は銀行の自己資本増強や連邦融資の原資などに使われる。政府は銀行の自己資本を増強するため、交付国債の形で1兆ルーブル(約1.7兆円)の公的資金を注入するほか、ロシア開発対外経済銀行(VEB)に対し、3000億ルーブル(約5200億円)の資金を供給する。

また、投資プロジェクトの資金として2000億ルーブル(約3500億円)が使われるほか、地方政府に1600億ルーブル(約2800億円)が融資される。その一方で、財源を調達するため、公共投資を今年は10%、今後2年間は各5%削減する計画。

IMF(国際通貨基金)によると、ロシア経済は、今年はマイナス3%、来年もマイナス1%のリセッション(景気失速)が予想されている。

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インドネシア自動車大手アストラ、2014年自動車販売台数は6%減に

インドネシア自動車大手アストラ・インターナショナルは28日、同社の2014年の国内自動車販売台数が前年比6.17%減の61万4169台となったことを明らかにした。ジャカルタ・グローブ(電子版)などが伝えた。

一方、オートバイ(自動二輪)の販売台数は同7.44%増の505万台と好調となった。自動車の販売台数は減少したものの、国内市場のシェアは50.84%と、依然としてトップシェアを維持。オートバイの国内シェアも64.2%と、トップシェアとなっている。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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