Yahoo!ニュース

主な新興国・米国経済ニュース(15日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

米GE、傘下のGEキャピタルの日本事業部門売却を準備中か

米複合企業大手ゼネラル・エレクトリック<GE>は傘下のGEキャピタルの日本の商業金融事業部門を売却する方向で準備を進めているもようだ。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)などが13日に関係筋の話として伝えた。

これは同社のジェフ・イメルトCEO(最高経営責任者)が進めている同社の金融事業部門であるGEキャピタルの大半を分社化し金融事業から撤退する戦略の一環をなすもので、日本事業部門の売却先としては三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行などの日本の金融大手の名前が浮上している。同部門の価値は約50億ドル(約6000億円)と見られている。

-----

米ウォルマート、アマゾンに対抗する独自の急送配達サービス導入へ

米小売り最大手ウォルマート・ストアーズ<WMT>は、オンライン小売り大手アマゾン<AMZN>に対抗するため、初夏をメドに、アマゾンが実施している急送配達や期日指定配達が無料になるプライムサービスのウォルマート版である「タホー(Tahoe)サービス」を導入する計画だ。米経済専門チャンネルCNBC(電子版)が13日に伝えた。

これは同社がAP通信に明らかにしたもので、タホーサービスを利用すると顧客は発注後3日以内に商品を受け取ることが可能となる。同サービスの利用料は年間で50ドル(約6000円)を予定している。同サービスは玩具から電気製品まで100万種類の売れ筋商品が対象となる見通し。現在、同社のオンライン販売商品は700万種類余りとなっている。

-----

ロシア4月新車販売台数、前年比41.5%減―前月は同42.5%減

ロシアに進出している外国企業で構成する欧州ビジネス協議会(AEB)は13日、ロシアの4月の新車販売台数(軽商用車含む)が前年比41.5%減の13万2456台と、前月(3月)の同42.5%減に続いて4カ月連続で急落し、10年ぶりの低水準となったことを明らかにした。この結果、1-4月期では前年比37.7%減の51万6135台となった。

また、4月の新車販売台数としては、いわゆる、リーマンショックで世界的な金融市場の混乱が起きた2009年同月の13万6000台にほぼ匹敵する低水準。こうした新車販売低迷の背景には、原油安や自国通貨ルーブルの対ドルでの急落、西側の対露経済制裁でロシア経済が急激に悪化し、新車販売価格の上昇も手伝って、多くのメーカーで新車需要が失われたことがある。

ただ、AEB自動車工業委員会のヨーグ・シュライバー委員長は、「新車販売の低迷に対する政府の新車買い替え支援対策などによって、今後数カ月の新車販売台数は前年比で一段と低下することは避けられる」と楽観的に見ている。

メーカー別の販売台数は、ロシア自動車最大手アフトバスが前年比38.3%減の2万2859台(1-4月期は前年比28.9%減の9万1413台)となった。外国車では、トヨタ自動車(トヨタとレクサス)は同46.6%減の9192台(同33.1%減の3万7217台)、日産は同44.2%減の6599台(同41.3%減の3万3782台)、米自動車大手フォード・モーター<F>は同48.3%減の2787台(同65.5%減の7847台)となり、ロシアでの生産継続が危うくなってきているほどだ。米自動車最大手ゼネラル・モーターズ<GM>グループ(傘下の独オペル含む)も同61.9%減の7589台(同71.4%減の2万1024台)となった。

対照的に、トヨタ自動車のレクサス部門は同4.8%増の2200台(同13.3%増の6202台)となった。ドイツ自動車大手ダイムラー傘下のメルセデス・ベンツは同5.9%減の4771台(同3.4%増の1万7609台)と、減少幅が小幅で、高級車は比較的堅調を維持している。ただ、独高級自動車大手BMWグループは同37.7%減の2045台(同19.9%減の1万0726台)と依然として低迷している。

-----

インドネシア大統領、プルタミナ傘下の石油商社ペトラルの事業停止を決定

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は13日、国営石油大手プルタミナ傘下の石油商社プルタミナ・エネルギー・トレーディング(ペトラル)の事業を同日付で停止し、将来的には解散する方針を明らかにした。地元アンタラ通信(電子版)が伝えた。

同大統領は、「ペトラルの役割はもはや重要ではなくなったことから、プルタミナのコミッショナー(監査役会会長)の了承の上、本日から事業を停止することを決定した」と述べている。また、ペトラルの解散について、同大統領は、「解散の前にデューディリジェンス(企業や資産の調査・確認手続き)や手続きの透明性を確保するため、独立した監査人による監査の手続きを踏む」としている。

ペトラルは1976年に設立されたが、これまでプルタミナからの天下りの温床として、また、不透明な経営からさまざまな疑惑を招いていた。また、ペトラルの事業停止後は親会社のプルタミナが原油輸出入や石油精製などの事業を引き継ぐとしている。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

増谷栄一の最近の記事