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主な新興国・米国経済ニュース(18日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

米グーグル、今夏から公道で完全自動運転のプロトタイプ車の実証実験へ

グーグルの完全自動運転試作車=同社ブログより
グーグルの完全自動運転試作車=同社ブログより

米インターネット検索大手グーグル<GOOGL>は先週末、今夏からカリフォルニア州マウンテンビューの路上で、完全自動運転のプロトタイプ(試作)車による実証実験を行う計画を明らかにした。

これは同社の自動運転車開発プロジェクトの責任者であるクリス・アーマン氏が自社ブログで明らかにしたもの。これまで、同社は2009年からカリフォルニア州の道路や高速道路で試験走行し、計11回の軽度の事故を起こしたが、ほとんどの事故でグーグル側に原因はなかったとしている。今度は、アクセルやブレーキ、操縦ハンドルなどの仕組みを排除した完全自動走行するように設計されたプロトタイプ車を使って公道で実証実験に入るとしている。

ただ、走行の安全を確保するため、プロトタイプ車は時速25マイル(約40キロ)以下で走行し、車内にはテストドライバーも一人同乗し、いつでも手動操作に切り替えられるようにするという。

グーグルはこれまでに、トヨタとレクサス、アウディの既存車に自動走行に必要なセンサーやカメラ、コンピューターなどの装置を取り付けた25台の自動運転車を完成させているが、今夏の実証試験では同社独自に開発した完全自動運転のプロトタイプ車が使われる。グーグルでは2017-2020年に完全な自動運転車を市場に投入する計画で、自動運転を可能にする高度なレーザー光線レーダー(LIDAR)技術があり、これを使えば、自動運転車の周囲の状況を正確に画像処理できる低価格なソフトウエアを作ることができるとしている。

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ロッキードとボーイング、衛星打ち上げ合弁会社ULAの役員12人削減へ

米航空・防衛機器大手ロッキード・マーチン<LMT>と航空・宇宙大手ボーイング<BA>の衛星打ち上げ部門を統合した合弁会社ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は先週末、取締役会を構成する役員の3割に当たる12人を今年12月にレイオフ(一時帰休)する方針を明らかにした。米経済専門テレビ局フォックス・ビジネス(電子版)などが伝えた。

トーリー・ブルーノCEO(最高経営責任者)は、今回のレイオフについて、「衛星打ち上げ市場での競争力を強化すると同時に経営陣を一掃する狙いがある」としている。ULAは2006年に軍事用偵察衛星を地球の周回軌道に打ち上げる専門会社として、市場を独占している。しかし、米空軍は来月から米宇宙ベンチャー企業のスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)にも衛星打ち上げを委託することで、ULAが独占する市場に競争の原理を働かせたい考えだ。

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12-15日のロシアRTS指数、2週続伸―ルーブル高で=BRICs市況

前週(12-15日)のロシア株式市場は、RTS指数(ドル建て)の15日終値が前週比1.4%高の1074.73と、2週連続で上昇した。ルーブル高が相場を押し上げた。一方、外国人投資家からのロシア株式市場への7-13日の資金の流れは4590万ドル(約55億円)の流出超と、2週連続の流出超となり、前々週の300万ドル(約3.6億円)の流出超を上回った。

週明け11日は「勝利記念日」の祝日で休場となったため、前週に引き続き1日短い売買となった。取引が再開された翌12日は指数が上昇。企業の配当金支払いでルーブル需要が高まりルーブル高となったことに加え、欧州の代表的油種であるブレント原油先物価格も1バレル当たり66ドルを超えて上昇したことが好感された。13日も指数は引き続きルーブル高と原油高に支えられ2日続伸。14日は3日ぶり反落。中銀が外貨準備の増強とルーブル高の行き過ぎによる輸出産業への悪影響を緩和するため、市場から1日当たり1億-2億ドル(約120億-240億円)の外貨購入を開始することを決めたのを受けてルーブル安となったことが嫌気された。

週末15日は反発。ルーブルが企業の配当金支払い需要に支えられ前日の下落から反発したことが好感された。市場では前日の中銀の外貨購入決定というルーブル安懸念は払しょくされたと見ている。個別銘柄では国営金融大手VTB(対外貿易銀行)と石油大手スルグトネフチガスが大幅増配の実施を決めたことから、それぞれ5.03%高、2.88%高と、急騰した。

今週(18-22日)のロシア市場は、引き続き原油とルーブルの相場動向が相場変動要因となるほか、金属大手のノリリスク・ニッケルなど主要企業の配当金狙いの投資需要で相場が下支えされると見られている。

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前週のインド株は2週続伸―追加利下げ期待で=BRICs市況

前週(11-15日)のインド株式市場で代表的株価指数SENSEX指数の15日終値は前日比118ポイント(0.4%)高の2万7324.0となり、週間ベースでも8日終値比219ポイント(0.8%)高と、2週連続で上昇した。インフレ率の低下で中銀による追加利下げ期待が広がり相場が押し上げられた。

週明け11日は指数が急伸。中国人民銀行(中銀)のこの半年間で3回目となる利下げ決定が好感され、金属と自動車のセクターが大幅高となった。翌12日は3営業日ぶりに反落。4月CPI(消費者物価指数)を控える中、自動車大手タタ・モーターズや銀行株などが下げた。13日は反発。4月CPIが前年比4.87%上昇と、3月の5.25%上昇を大幅に下回ったことからインド中銀による追加利下げの可能性が高まったとの観測が相場を押し上げた。

14日は小反落。4月卸売物価指数が前年比2.65%低下となり、アナリスト予想の2.3%低下より落ち込み幅が大きかったことから中銀の動きを見極めたいというムードが強まった。また、ルピー高でソフト大手のインフォシスとタタ・コンサルタンシー・サービシズが下げた。週末15日は反発。再び中銀の追加利下げ観測が手掛かり材料になり相場が押し上げられた。

今週(18-22日)のインド市場は引き続き、企業決算やルピー・原油相場の動向に左右される相場展開になりそう。鉄鋼大手タタ・スチールや自動二輪大手バジャージ・オート、塗料大手アジアン・ペインツなどの決算発表が注目される。また、ナレンドラ・モディ首相の中国とモンゴル、韓国の公式訪問での声明に市場の関心が集まりそう。主な経済指標の発表は予定されていない。

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前週のブラジル株は2週続伸―ペトロブラス堅調で=BRICs市況

前週(11-15日)のブラジル株式市場は15日のボベスパ指数が前日比1.04%高の5万7248.63となり、週間ベースで8日終値から0.17%高と、2週連続で上昇した。また、月初来で1.81%高、年初来でも14.48%高となっている。

週明け11日は上昇。歳出削減やペトロブラスの決算発表でブラジルの格下げが回避されるとの見方が広がった。ただ、市場の一部ではこれまでの相場上昇も景気減速が進むにつれて失速する可能性があるとの懸念も見られた。翌12日は反落。世界的な国債暴落で借り入れコストが上昇しブラジル経済の見通しが悪化するとの懸念が広がる中、鉱山大手ヴァーレが4.1%安となり相場を押し下げられた。13日は2日続落。米信用格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスが鉄鉱石の国際相場の下落を受けてヴァーレの格付け見通しを引き下げたことで2.6%安となったほか、ブラジル中央電力がMSCIブラジル指数の構成銘柄から除外されたことで3.9%安となったことが響いた。

14日は3日ぶり反発。ブラジル銀行の1-3月期貸倒引当金が43%増となったことが嫌気され3.9%安となったため、指数の上昇は限られた。週末15日は2日続伸。国営石油大手ペトロブラスの2015年1-3月期決算の発表前にアナリストが黒字予想を明らかにしたことから1.2%高となり、相場全体を押し上げ週前半の下落分を消した。

今週(18-22日)の株式市場に影響を与えそうな主な国内の経済指標は、21日の4月失業率、22日の5月IPCA-15(拡大消費者物価指数)など。

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中国株式市場、前週の上海総合指数は大反発=BRICs市況

前週(11-15日)の中国株式市場で、主要指標となる上海総合指数は週間ベースで大反発し、4308.69(8日終値比103ポイント(2.4%)高)で取引を終了した。

週初11日は指数が3%高と、2週ぶり大幅高となった。中国人民銀行(中銀)が景気刺激のため、この半年間で3回目となる利下げを実施したことを受け、金融・ハイテク銘柄主導で上げた。翌12日も上昇し3営業日続伸。利下げによる借り入れコストの低下で消費が上向くとの観測が広がった。13日は4営業日ぶり反落。都市部の固定資産投資の伸びが約14年ぶりの低水準となったことが嫌気され、エネルギー・金融株が下げた。

14日は小反発。中国政府が高速ブロードバンド網の整備を加速し、通信料金を引き下げる方針を示したことが好感され、通信株が急伸した。しかし、その一方で、中国当局が大手資産運用会社による一部株式の大量保有について調査しているとのうわさが広がりもみ合う展開となった。週末15日は指数が1.6%安と、急落。中国証券監督管理委員会の肖鋼委員長はこの日の会見で、先月から新規株式公開(IPO)の承認件数を拡大したことについて、株式市場に大きな影響はないと発言したが、市場では相場の過熱化を防ぐため、IPOの承認を増やすことを示唆したとして売られた。また、景気減速で企業利益に影響が出るとの観測も広がった。

今週(18-22日)の株式市場の見通しについて、アナリストは政府の追加景気刺激策が市場に織り込み済みのため、材料視されにくいと見ている。主な経済指標は18日の4月住宅価格統計と21日の5月HSBC製造業PMI(購買担当者景気指数)など。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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