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主な新興国・米国経済ニュース(26日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

米著名投資家アイカーン氏、ネットフリックスの残りの持ち株売却

米国の著名な投資家カール・アイカーン氏は24日、米オンラインDVDレンタル・映像ストリーミング大手ネットフリックス<NFLX>の残りの持ち株をすべて売却し、20億ドル(約2500億円)の売却益を上げたことを明らかにした。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)が伝えた。

これは同氏が自身のツイッターで明らかにしたもので、「我々が数年前にネットフリックスに投資するチャンスだと言ったのと同じことが、現在は米IT大手アップル<AAPL>についても言える」と述べ、今後、投資の重点をアップルにシフトする考えを示した。

アイカーン氏は2012年にネットフリックスの株式約10%を取得したが、当時の1株当たりの株価はわずか58ドルで、投資家のネットフリックスの成長性に対する信頼が失われていたころだった。しかし、その後、アイカーン氏は2013年に持ち株の半分を1株当たり約340ドルで売却し、その後も徐々に持ち株を減らし、今年に入ってからは株価が急騰したあと、残りの持ち株2.3%を売却している。ネットフリックスの23日時点の株価は684ドルと、アイカーン氏が最初の購入時からは約12倍となっている。

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米ウォルトディズニー、アニメ映画「アナと雪の女王」ヒットで増配へ

米娯楽・エンターテインメント大手ウォルトディズニー<DIS>は24日、年間ベースの配当金支払額を15%引き上げる方針を明らかにした。

増配を決めたのは、アニメ映画「アナと雪の女王」(原題はフローズン)が大ヒットし興行収入が好調だったことや、「スター・ウォーズ」の最新エピソードが今年暮れに公開され、さらに売り上げの拡大が予想されるため。配当金は従来の1株当たり1.15ドルから1.32ドルに引き上げられ、年2回に分けて支払われる。最初の66セントは7月6日現在の株主に対し7月29日に支払われる予定。

ディズニーでは9月からスター・ウォーズ関連商品の販売を開始し、12月18日に「スター・ウォーズ:ザ・フォース・アウェイクンズ」を公開する。

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米ゴールドマン・サックス、米フォードの投資判断を「買い」に引き上げ

米証券大手ゴールドマン・サックス<GS>は24日、顧客向けリポートで、米自動車大手フォード・モーター<F>の株式投資判断を「ニュートラル」から「買い」に引き上げたことを明らかにした。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーが伝えた。

2015年のフォードの株価動向をみると、自動車販売が上向いているにもかかわらず、値動きに乏しく、むしろ、同業大手のゼネラル・モーターズ<GM>の陰に隠れているが、ゴールドマン・サックスは、フォード株式が今後、GMよりも急成長し大化けすることに賭けている。今後12カ月間の目標株価も19ドルに引き上げている。これは23日の株価15.29ドルに対し、25%高となることを意味している。

一方、ゴールドマン・サックスはGMの株式投資判断については、「株価の勢いは鈍くなっていく」とし、すでに買い推奨リストからGMを外している。

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ロシア大統領、西側に対する食品輸入禁止措置の1年延長命令に署名

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は24日、EU(欧州連合)が22日に対ロ経済制裁の期限を来年1月末まで半年間延長したことを受けて、ロシアが昨年8月初めに導入した、米国やEU加盟28カ国、カナダ、オーストラリア、ノルウェーを原産国とする農産物や生鮮・加工食品の輸入禁止措置を1年間延長する大統領命令に署名した。この報復措置は24日から1年間の延長となる。ロシアのニュースチャンネルRT(電子版)が伝えた。

一方、ロシア連邦動植物衛生監督局のアレクセイ・アレクセンコ報道官は23日、地元オンラインニュースメディア「ガゼッタ(Gazeta.Ru)」のインタビューで、西側に対する食品輸入禁止措置に新たにチョコレート菓子と切り花や植木など観賞用植物、球根などの生花・花製品の輸入禁止の対象に加える方向で検討していることを明らかにした。しかし、アレクサンドル・トカチョフ農相は生花・花製品と魚の缶詰の輸入禁止を検討しているが、チョコレートを含める決定はしていないとし、両者の発言に食い違いが見られる。

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ベトナム中銀、下期の銀行貸出金利を現状維持する方針―副総裁

ベトナム中央銀行のグエン・ティ・ホン副総裁は23日の会見で、2015年下期(7‐12月)の銀行の貸出金利を現状のまま安定させるとともに、今年の貸出残高の伸びも13-15%増の目標を達成したい考えを明らかにした。地元紙タンニェン(電子版)が25日に伝えた。

同副総裁によると、貸出金利は上期(1-6月)に、昨年末の水準から20-50ベーシスポイント(0.2-0.5%ポイント)低下してきており、現在、短期の貸出金利は年率6-9%、また、中長期の貸出金利は9-11%となっているという。

また、同副総裁はベトナム経済の現状認識について、「今年1-3月期のGDP(国内総生産)の伸び率が6.03%増となり、インフレも依然として抑制されており、景気は回復の兆候を示している」との見方を示した。

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チェコ中銀、政策金利を事実上のゼロ金利に据え置き―為替介入も継続

チェコ国立銀行(中央銀行)は25日の金融政策決定会合で、政策金利の2週間物レポ金利を過去最低の0.05%のまま据え置くことを全員一致で決めた。中銀は2012年11月の会合で政策金利を0.25%から0.2%ポイント引き下げて0.05%と、事実上のゼロ金利にしており、これで据え置きは21会合連続。

また、中銀は金融政策決定会合後に発表した声明文で、事実上のゼロ金利の状況下ではこれ以上の追加利下げが困難なことから、前回会合に続いて、金融緩和のもう一つの方法として、為替介入を通じて自国通貨コルナの価値を下落させるという非伝統的な手段の継続も決めた。その上で、中銀は、為替介入は前回同様、コルナ売り・ユーロ買いによって1ユーロ=27コルナを引き続き達成目標とするとしている。

その上で、中銀は、前回と同様に、「今回の据え置き決定は、市場金利が現在の超低水準で続き、為替介入の手法を2016年末まで続けることを前提とした現在の経済予測や最新の経済データに基づいたものだ」と述べている。

中銀は今回の声明文でも、「中銀は現行のインフレ予測が上振れするリスクと下振れするリスクがちょうど釣り合っている状態にあると判断しており、こうした状況下では、中銀は金融政策の手段としての為替介入を2016年下期(7-12月)より前に打ち切ることはない」としている。

次回会合は8月6日に開催される予定。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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