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国内最後のトレーニングマッチ。大会前に浮かび上がった課題とは?(監督・選手コメント編)

松原渓スポーツジャーナリスト
藤枝明誠高校とトレーニングマッチを行ったU-20日本女子代表(C)松原渓

静岡県内で行われているU-20日本女子代表候補合宿で、U-20日本女子代表チーム(以下:U-20女子代表)は12日、地元の藤枝明誠高校(以下:藤枝明誠高)とトレーニングマッチを行った。

この試合は、今年11月13日に開幕するU-20ワールドカップのメンバー選考前の、最後の実戦の場となった。

試合後の監督・選手の声をお届けする。

トレーニングマッチのレポート記事はこちら

★高倉麻子監督

ーー試合を振り返って

相手が男子高校生ということで、スピードやコンタクトの面では慣れるのに少し時間がかかりましたが、自分たちのペースでボールを動かしながらゴールに向かうという部分はある程度、表現できていたと思います。ただ、フィニッシュの形までは何回か非常に良い形で持って行けましたが、決め切るというところで、もっとシビアになっていかなければいけません」

ーー1本目と2本目の、メンバーの組み合わせの意図を教えてください。

特にAチーム、Bチームということではなくて、選手の最終選考という意味もあったので、それぞれがアピールしやすいように、バランスを考えてメンバーを決めました。

ーーこのワールドカップ前、最後の合宿を振り返って手応えを教えてください。

選手たちがモチベーション高く合宿に入ってきてくれましたし、全員が連動して攻守ともにハードワークするという点では、練習や今日のゲームに関してもある程度は表現してくれたかなと思います。

ーーワールドカップまで、チームとして詰めていきたいところはどんなところですか?

ペナルティボックスの中の勝負になると思います。ボールは非常によく動いていると思いますけれど、最後に誰が仕留めるのか、ということです。個人で、ゴールを破るということも要求していきますし、もちろんコンビネーションのところでうまく作っていくことも必要です。守備のところでは、放り込まれて一発でやられてしまう、ということのないように、集中を高めたいと思います。

ーー1対1の部分で、残り1ヶ月で求めることは?

「予測して、体を入れようとして入れられなかったりとか、そういう部分は今日の試合でも、多く見られました。そういう競り際の一歩目というのは、1ヶ月で大きく変わるものではないと思いますが、こだわりは常に持ってもらいたいと思います。先に読んでいれば体が入る部分もあるし、当たり方で勝てる部分もあると思うので。体の強さと読みの速さは、大会までにそれぞれ高めてきてもらいたいところです。

ゴールへの意識を高める長谷川
ゴールへの意識を高める長谷川

★MF長谷川唯(日テレ・ベレーザ)

ーー試合を終えての感想を聞かせてください。

(後半45分間の)最初の15分間は、勢いよく試合に入れて、いい形で崩せたり、あと少しでシュートというところまで行けたんですが、最後で打ちきれないところはまだまだ課題です。

ーーなでしこリーグでは感じられないような出足の速さなど、感覚的な違いもありましたか?

そうですね。ちょっと感覚がずれていて、もう一歩早く足を出さないといけなかったり、いつもならチャンスになるようなところで一度、後ろを向いてやり直さなければいけないところもあったので。そこはサポートの質だったり、奪った後の切り替えの速さを全体で上げていければ、ゴールまで繋げていけるのかなと思います。

ーー久々に合わせるメンバーもいたと思いますが、呼吸はどうですか?

やろうとしているサッカーは、自分自身はベレーザでやっていることとそれほど変えていないですし、いつもやっていることを意識してやっています。選手同士の距離感も、たまに合わないことはありますが、それはお互いの意思があってのことなので、話し合えば解決しますし、改善していけるところなので。やろうとしている方向はみんな同じなので、大丈夫だと思います。

ーーリーグ優勝した中で得た自信や手応えはありますか?

今年は(所属チームでは)サイドハーフで継続して出ることができて、ゴールは少ししか取っていないのですが、アシストの部分で絡めたのは自信になりました。本当は自分がゴールを決めるのが一番良いとは思うんですが、チャンスメイクの部分で絡めるようになったのは成長した部分です。

ーーあと1ヶ月で大会を迎えますが、最後に高めていきたい部分や、楽しみなことはありますか?

自分のプレーを100パーセント出せるようにするだけです。前回大会(2014年U-20ワールドカップ)には行けていない(アジア予選で敗れた)ので、どんな感じかは分からないのですが、パプアニューギニアがどんな国なのかな?と。治安があまり良くないということも聞いていて、不安もありますが、それよりも大会への期待と楽しみが大きいですね。

クロスからチャンスを作った松原
クロスからチャンスを作った松原

★MF松原志歩(セレッソ大阪堺レディース)

ーー後半、クロスから決定的なチャンスを作りました。試合を振り返って

監督とコーチから、「どんどん積極的に自分から仕掛けて、最後はシュートやクロスで終わるようにしよう」と言われていたこともあって、意識して試合に入りました。ゴールにつながらなかったのは残念ですが、いいクロスを上げられたことは良かったです。

ーー今回の合宿を通じて、自分の持ち味を出せた手応えはありますか?

自分の立場的に、(メンバー入りの)ボーダーラインにいることは分かっていたので、出せる力をすべて出そうと思って、思い切ってプレーできたと思います。

ーー今回はDFが多く選ばれていましたが、どんなところでアピールしていましたか?

サイドバックでプレーするのも好きなんですが、前の方のポジションは(所属)チームでもプレーしていて好きなポジションなので、もしいけるのなら、前の方のポジションで活躍したいという思いがありました。今回は試合でも前の方のポジションでプレーできたので、仕掛けたり、クロスを上げたり、練習の中でも積極的に前を向くことを意識してプレーしました。

ーーU-17ワールドカップの時と、U-20ワールドカップではどんなところに違いが出ると思いますか?

映像で見た中でも、スピードとか、体の当たりとかはまったく違っていて、フィジカルのところで負けることがあるかもしれないですが、最後まで走れる運動量も持ち味だと思っているので、そういうところでカバーできたらいいなと思います。

ーーオフも楽しそうな雰囲気ですが、実際はどんなところが楽しいですか?

(私は)所属チームのセレッソでは一期生で、一番の最年長なので、先輩がいないんです。でも、この(U-20女子代表)チームだと先輩が多いのは嬉しいですね。先輩に甘えられることはあまりないですし、いじられるのも楽しくて、結構好きです(笑)

ーー残り1ヶ月間、大会に向けてどんな気持ちで臨みますか?

まずはメンバーに選ばれてから、いろいろ考えたいと思いますが、もし大会に行くことができたら、もちろんスタメンを取るために頑張ります。その上で、いろんな人ともっと仲良くなって、みんなで世界一になって帰ってきたいと思います。

中盤をコントロールする隅田
中盤をコントロールする隅田

★MF隅田凜(日テレ・ベレーザ)

ーー試合を振り返って

普段、なでしこリーグでやっているサッカーよりは、プレッシャーは強くなかったです。間も空いているし、ボールもおさまって、間で受けられたりもしたので。その中で、相手の前でボールを動かしているだけになってしまっていたので、もっと裏を狙ったり、シュートまで持ち込んだり、相手にとって嫌なプレーがもっとできたらよかったなと思います。一発の裏を狙ってくるところは、海外のチームと似たような感じでしたね。スピードがありますし、ファーストディフェンダーとか、一発目で寄せるところをもっと(指示をして)生かせれば、ロングボールも蹴られないと思うので。そこはもっと意識していきたいです。

ーー同年代の選手とプレーする上で大切にすることは?

やっぱり、ベレーザだと、(阪口)夢穂さんとかイワシ(岩清水梓)さんとか、上の人に頼ってしまうことがあるんですが、U-20の世代では一番年上なので、サッカーの中では引っ張っていかなければいけないという気持ちでやっています。

ーープレーの感覚面でも違うものはありますか?

そうですね。チームとはやっているポジションが違うんですが、U-20の世代は一人一人個性がはっきりしていて、ヘディングが得意な選手だったり、シュートが上手い選手だったり、という違いはありますね。

ーー周りとの連携で、意識することは?

前からプレッシャーに行くときは、自分が空けるポジションの、後方を見てから行くようには意識しています。

ーー大会まで1ヶ月ですが、楽しみなことや、この1ヶ月間で変えていきたいことはありますか?

前回のU-20ワールドカップでは(アジア予選で敗れて)大会に出られなかったので、同じ世代の海外の選手とやれるのは楽しみですし、アフリカ勢とは全く対戦する機会がないので。ナイジェリアとか、どんな感じなのか、楽しみです。

1対1の強さも見せた羽座
1対1の強さも見せた羽座

★DF羽座妃粋(日体大FIELDS横浜)

ーー久々にこの年代の合宿に呼ばれて、どんなことを意識しましたか?

選ばれていない間の1年で、組織的な戦術などができていたので、早くそれに慣れて、自分もチームの一員として活躍できるように、まず頭の中で戦術理解をしっかり整理しようと心がけました。

ーー今日の練習試合では、どんな手ごたえがありましたか?

この合宿は、守備をテーマとしてやってきたんですが、失点した部分などはまだまだだなと感じました。奪いきれたところもあったので、そこは自信にもなりました。

ーーワールドカップ前、最後の国内合宿でしたが、アピールするという点で、手応えは?

自分のプレーがやりきれきたとは思えないので、やりきれていない感は残っています。ワールドカップでチームに帯同できるかどうかは分からないですが、もしメンバーに選んでいただけたら、日本を代表する選手として頑張りたいです。

ーー合宿中、監督から言われたことで印象に残っていることは?

一つひとつのプレーやパスの質や精度は、今まで以上に求められているのだなと感じました。

豊富な運動量を生かす清水
豊富な運動量を生かす清水

★DF清水梨紗(日テレ・ベレーザ)

ーー試合ではどんなところが課題として出ましたか?

2本目の最初の15分間は、意識して入ろうと言っていた中で、100パーセントの力を持ってやれたんですが、3本目の30分間は、自分も含めて疲れてきた中で、一人一人が少しパスコースが減っていったのかな、と感じます。相手の守備がハードだったということでもなかったので、間で受けられているところもあったので、後ろの選手がそこに良いボールを配給できていなかったり、少し合わないところがあったのかな、という場面がありました。

ーー前線のメンバーが変化する中で、アイデアを合わせるためにどんなことを意識しましたか?

新しいメンバーも、今まで一緒にやったことのある選手たちなので、練習を重ねて意識を合わせることはできていましたが、ちょっとしたところがもう少しかな、という印象はあります。そこは最後で詰めていきたいですね。

ーーワールドカップ前、最後の合宿でしたが、個人的に意識したことは?

まだメンバーが決まっていないので、まずはワールドカップのメンバーに選ばれるように、一日一日、一つひとつのプレーを意識して取り組みました。

ーーワールドカップまであと少し。どんな心持ちですか?

今U-17ワールドカップをやっていて、試合を(テレビで)見ているんですが、ああいう舞台に立つというのは自分の中でもすごく良い経験になると思います。そのワールドカップで自分のプレーを出すことが一番の目標で、それに向けて、まだリーグ戦も残っているので、(所属)チームでも試合に出続けて、ワールドカップに良いモチベーションで行きたいです。(今、ヨルダンで行われている)U-17ワールドカップで(ベレーザの下部組織の)メニーナの子たちが頑張っているのは頼もしいですし、自分も負けていられないな、と思います。自分たちも(U-20ワールドカップで)パプアに行く上で勢いをもらえたらいいですね。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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