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世界第3位に輝いたヤングなでしこ。21人が目指す次のステージとは?(1)

松原渓スポーツジャーナリスト
銅メダルに輝いたヤングなでしこ(C)松原渓

ヤングなでしこが、U-20女子ワールドカップで銅メダルに輝いた。

パプアニューギニアで開催されているU-20女子ワールドカップは、3日に最終日を迎え、3位決定戦と決勝が行われた。

日本が出場した、3位決定戦の相手はアメリカ。

日本は、これまでフル出場でチームを牽引してきたキャプテンでセンターバックの乗松がケガのために欠場。他にもケガを抱えている選手がおり、コンディションは万全ではなかったが、総力戦で勝利をつかみ取った。 

【29本のシュートを実らせた、1つのゴール】

日本のスターティングメンバーは、GK平尾知佳、DFラインは左から北川ひかる、市瀬菜々、羽座妃粋、宮川麻都。MFは左から三浦成美、杉田妃和、隅田凜、守屋都弥。籾木結花と長谷川唯が2トップを組んだ。

序盤は、互いに主導権の奪い合いとなった。日本が最前線からコースを限定してボールを追えば、アメリカも負けじとラインを上げてボールを奪いにくる。そんな中、日本は中盤のパスミスからピンチを招く場面もあったが、守備は高い集中を見せ、危険な場面はほとんどなかった。

アメリカの攻撃で唯一、怖さを感じさせたのは、A代表にも選ばれているMallory Pugh(背番号9)だ。右サイドのPughにボールが入った瞬間、アメリカの攻撃にスイッチが入り、一気にスピードアップした。

だが、最終ラインでは市瀬と、欠場の乗松に代わってセンターバックに抜擢された羽座が、的確な予測で相手のラストパスをカットしていく。セットプレーやクロスに対しては、GKの平尾が安定感のあるセービングを見せた。今大会を通じて、日本が決定的なピンチに陥った場面は多くはなかったが、平尾が最後尾でもたらした安心感は大きかった。ピンチが少ない中で90分間、高い集中力を維持した。

守備が安定すると、試合の主導権は徐々に日本のものになっていった。

21分には、右サイドで籾木のパスを受けた隅田のシュートが枠を捉え、その後にも長谷川、籾木のシュートがゴールを襲うが、アメリカのGK、Casei Murphyが好セーブを見せる。

後半はアメリカがカウンター狙いに切り替えて自陣に引いたこともあり、日本が押し込む時間帯が増えた。加えて、日本は後半、トップに上野真実を投入したことで、前線でボールの収まりどころが増え、攻撃に変化が生まれた。中盤でボランチの隅田が積極的にボールに絡んでリズムを作ると、隣で杉田が縦パスを狙いつつ、自ら前線に飛び出してシュートを狙う積極性も見せた。

隅田の強烈なシュートが相手GKの好セーブに遭い、籾木のシュートがバーに弾かれるなど、シュートまでの形は作れているのだが、あと一歩でネットを揺らせない。0-0のままスコアが動かず、時間だけが過ぎていった。

試合終了まで残り時間が少なくなり、PK戦に突入(※)することを覚悟しかけた矢先の87分、日本の攻撃がついに実った。

左サイドの長谷川からオーバーラップした北川に縦パスが入り、その瞬間、ペナルティエリア左端に侵入した上野にダイレクトでパスが渡った。ボールを受けた上野はアメリカのディフェンダー3人に囲まれたが、小刻みなステップから左足を振ると、放物線を描いた柔らかいループシュートがGKの頭上を越えて逆サイドネットに吸い込まれた。

試合後、「狙ったゴールではなかった」と上野は小さく笑った。だが、その独特の間合いとシュート技術の高さが、試合を通じて29本ものシュートを放った日本の攻撃を勝利に結び付けた。

※3位決定戦は延長戦はなく、90分間で勝敗が決まらない場合はPK戦で決着をつける。

(2)【未来への課題】

(3)【監督・選手コメント(U-20アメリカ代表戦後)】

(4)【選手コメント(U-20アメリカ代表戦後)】

(5)【選手コメント(U-20アメリカ代表戦後)】

に続く

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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